【現地発】最悪のスタートから現在は9戦無敗! レバークーゼンを変貌させた者たち

2017年12月01日 中野吉之伴

選手も憤慨した開幕3戦で勝点1…

前所属のリーベルでは2015年に南米制覇の原動力となり、日本で開催されたクラブワールドカップにも出場したアラリオ(中央)。25歳のFWは初の欧州挑戦で、抜群の存在感を示し、瞬く間にチームにとって不可欠な存在となった。 (C) Getty Images

 今シーズン、欧州の舞台に上がり損ねたレバークーゼン。この悔しさを晴らすためには、何としてもブンデスリーガで上位進出を果たさなければならない。


 だが当初、新監督に就任したハイコ・ヘルリッヒへの視線は、懐疑的なものが多かった。
 
 ドイツU-17、U-19代表監督を務めたことはあったが、ブンデスリーガで指揮を執るのは初めて。一応、ボーフム、ウンターハヒング、レーゲンスブルクと2、3部のクラブで監督歴はあるものの、どこでも短命に終わっていた。
 
 そして実際、開幕3試合でわずかに勝点1というクラブ史上ワーストの出だし。スイス代表FWアドミル・メーメディは、「考えられない!」と憤り、ドルトムントから加入したDFスベン・ベンダーは「もっと、はっきりとしたプレーをしないといけない」と指摘していた。
 
 その後もレバークーゼンは、4節のフライブルク戦こそ4-0で勝利するも、続くヘルタ・ベルリン戦は1-2で落とすなど、うまく波に乗れなかった。
 
 そんなクラブに変化をもたらしたのは、アルゼンチン人FW、ルーカス・アラリオの加入だ。移籍交渉で揉めて合流こそ遅れたが、加入直後のハンブルク戦でスタメン出場を飾ると、いきなり1ゴール1アシストの活躍で、ヘルリッヒ監督、そしてファンを喜ばせた。
 
 ここからレバークーゼンはめきめき調子を上げ、13節フランクフルト戦まで公式戦9試合で無敗(5勝4分け)を保っている。
 
 好調の立役者アラリオは、個々の選手にも恩恵をもたらした。なかでもドイツ代表FWケビン・フォラントは、アラリオの加入によって息を吹き返した。
 
 昨シーズン、2000万ユーロもの移籍金でホッフェンハイムからやって来たフォラントは、当時の監督ロジャー・シュミットのスタイルとかみ合わず、完全に構想外となっていたが、アラリオというパートナーを得たことで、持ち味のダイナミックさとゴール前での冷静さが復活した。
 
 ここ5試合で4ゴールと絶好調のフォラント。決勝点を挙げたフランクフルト戦(1-0)の後には、「昨シーズンだったら、あのシーンでもうひとつ考えてしまっていたかもしれない」と語ったように、現在は不調から解放され、好プレーを披露している。
 
 ジャマイカ代表MFレオン・ベイリーのブレイクスルーは頼もしい。ドイツ代表歴もあるFWカリム・ベララビをベンチに追いやり、レギュラーポジションを獲得。爆発的なスピードと強烈な左足を武器に、次々にゴールを決めて指揮官の抜擢に応え、ファンからも熱烈に愛されている。

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