【激闘の舞台裏】浦和、アジア制覇への勝負の一手は「4-4-2」

2017年11月27日 塚越 始

「レッズに足りなかった勝負強さ」を示せたと興梠。

10年ぶりのアジア制覇を果たした浦和。翌日には堀監督の続投も決まった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

[ACL決勝 第2戦] 浦和レッズ 1-0 アルヒラル/2017年11月25日/埼玉スタジアム
 
 浦和のシステムは従来の4-1-4-1とも捉えられるし、長澤がトップ下に入る4-2-3-1にも見える。試合後に確認したところ、選手たちは「4-4-2だった」と明かしていた。現体制初となる布陣のスタートからの採用。堀孝史監督が打ったアジア制覇への勝負の一手だった。

 
 アルヒラルはSBを含めサイドから2人、3人掛かりで崩し、CFのオマル・ハルビンの高さと強さを生かすという崩しを最大の武器にしている。サイドアタックを抑え、セカンドボールを含め中央のスペースをケアするという狙いだった。
 
 長澤と興梠の2トップが最終ラインや8番の司令塔アブドゥラー・オタイフにプレッシャーをかけ、柏木と青木は後ろで構えながら中央にボールが入ればケアする。長澤は「自分にとってはやりやすく、オフェンシブなプレッシングからボールを奪えてチャンスも作れた」と言い、青木は「(柏木と)ふたりでバランスを見ながらプレーしていたが、基本的には自分が阿部さんの声を聞きながら最終ラインの前のスペースをケアし、(柏木)陽介ができるだけ前で仕事をするような形だった」と説明していた。
 
 試合終盤には、興梠とR・シルバ、柏木と長澤など、選手たちの判断でベンチとも確認を取りながら臨機応変にポジションチェンジ。その結果、試合終了間際のR・シルバの渾身の決勝ゴールが生まれた。
 
 何より11月18日のアウェーでの決勝第1戦の試合終盤にも、4-1-4-1から4-4-2にシフトして試合を落ち着けて失点を抑えることに成功していた。柏木は「あそこ(第1戦)でやっていたから問題なくできた」と言い、遠藤によると4-4-2は「ずっと練習を積んできていた」システムであり、「(SBとCBの)間を取られる時間帯もあったが、少しずつ修正できた」と試合の流れに応じて対応できた点も勝因に挙げていた。
 
 その結果、「これがレッズに足りなかったサッカー。タイトルを獲れそうで獲れずにいたが、勝負強さを示せた」と興梠が胸を張ったように、過去の浦和になかったようなしたたかな試合運びができた。

【ACL決勝PHOTO】浦和が10年ぶりのアジア制覇達成! R・シルバが歓喜をもたらす

次ページ「ひとつ修正すれば、また新たな修正点が見つかる」。今回のシステムも進化の過程のひとつ。

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