【選手権出場校】今大会のダークホース・山梨学院。暴れん坊・加藤拓己プラスαで頂を目指す!

2017年11月19日 川端暁彦

エース・加藤拓己頼みの攻撃から脱却することがチームに必要だった。

加藤拓己がゴールを狙えば、相手が当たり前のように2、3人付いてくる。写真:川端暁彦

  立ち上がりから猛プレス。序盤はほぼ山梨学院のワンサイドだった。インターハイ山梨県予選決勝では帝京三に軍配が上がっているカードだが、とてもそうは思えない流れである。日本高校サッカー選抜の候補だった2年生FWの宮崎純真が立ち上がり早々に先制点を奪うと、10分に追加点を奪ってライバル校を突き放した。結局、序盤の猛ラッシュで生み出した差が最後まで効いて、4-1。山梨学院が2年連続6度目の選手権出場を決めた。
 
 そのサッカーは徹底したストロングスタイル。暴れん坊ストライカー、U-18日本代表FW加藤拓己(3年)を最前線に配して、彼に放り込むロングボール勝負がベースだ。「ほぼ競り勝ってくれるので、目が合ったら動き出すイメージを持てる」(宮崎)という絶対的な信頼からランニングプレーヤーの宮崎がスペースに飛び出して、その落としを受けるのが基本形。近いサイドのサイドハーフとボランチもこぼれ球を拾える位置にいるため、「ロングボール=ボールを失う」という一般的なイメージが当てはまらないチームである。
 
「ゴールキックでもチャンスになる」
 
 先輩への信頼に満ちた宮崎の言葉は、チームの絶対的な強みをよく表わしたものであり、対戦相手にとっては、なんとも厄介なものだ。
 
 ただ、その分かりやすさはチームとしての弱点でもある。誤解を恐れずに言ってしまえば、「加藤さえ潰せばいい」という見え方もするチームだからだ。実際、加藤が負傷明けで万全でなかったインターハイ予選、チームはエースの消耗と共に攻め手を失った。

「(負傷明けで)キツいと思ってしまった自分の責任」と、加藤は主将である自分を責めたが、その穴をカバーするチーム力を欠いたのも事実。セットプレーとなれば相手から"ダブルマーク"が付くのも当たり前というエースが思うようにプレーできないことがあるのは全国舞台を見据えても予想できること。周りの選手がどこまでやれるかがキーポイントだった。

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次ページ注目FWの宮崎純真など他にもタレントは揃う。いまや山梨学院は台風の目になる存在だ。

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