プラチナ世代とネイマール世代の8年――落差の兆候はあの惜敗の2年後から

2017年11月11日 加部 究

才能溢れる選手が揃っていた世代。しかし代表で生き残ったのは……。

ネイマールは2009年のU-17ワールドカップでは、フィリッペ・コウチーニョとともにブラジル攻撃陣の屋台骨を担っていた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 2009年のナイジェリア決戦から、もう8年になる。
 
 日本関係者の期待を背負ったプラチナ世代(1992年~93年早生まれ)は、U-17ワールドカップでブラジルと対戦した。実はこのチームがブラジル代表と戦うのは3度目だった。過去2度は一歩も引かず、むしろ互角以上の内容で引き分け。世界大会でも終了間際の不運な失点で2-3と敗れたが、選手たちからは「もう一度やったら絶対に勝つ」と自信の言葉ばかりが集まった。

 
 しかしそれから8年後のフル代表対決を迎え、プラチナ世代でピッチに立ったのは交代出場した杉本健勇ただひとり。一方ブラジル側は、当時10番をつけて大黒柱だったフィリッペ・コウチーニョが欠場したが、GKアリソン、カゼミーロ、ネイマールと、ナイジェリアで戦った3人が今では世界的なスターに成長して雄姿を見せた。
 
 落差が生まれる兆候は、すでにU-17ワールドカップの2年後から見えていた。年齢制限は1年ずれているが、ブラジルはU-20ワールドカップで優勝し、コウチーニョを筆頭に、先の日本戦でプレーしたカゼミーロ、ウィリアン、ダニーロ、アレックス・サンドロなどが主力を成した。
 
 それに対し日本は、プラチナ世代を牽引する宇佐美貴史らもプレーしたが、アジア予選で敗れている。その後はブラジルの選手たちが20歳代前半で世界トップレベルに上り詰めていき、逆に日本のプラチナ世代は、本田圭佑、長友佑都、岡崎慎司らに象徴される「北京世代」を突き上げることができず、日本代表低迷の一因になった。日本もトップランナーだった宇佐美は若くしてバイエルンへ移籍し、宮市亮はアーセナルと契約してレンタル先のフェイエノールトでブレイクした。しかし2人とも今では日本代表から離れている。
 
 現在同世代では、バルセロナ、レアル・マドリーからゴールを奪っている柴崎岳が出世頭だが、むしろ目立つのはU-17代表に選ばれていない選手たちの下剋上で、今回の遠征には高体連出身の昌子源と車屋紳太郎が名を連ね、Jアカデミー出身者では小林祐希や武藤嘉紀が前回の国内親善試合で起用された。

次ページエリート育成の成功確率では、圧倒的に競争率が高いブラジルの方が着実に代表に残っている。

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