【現地発】チェルシーとの大一番で堅守を捨てたモウリーニョ采配は妥当だったのか!?

2017年11月07日 山中忍

手堅い戦術を用いるのが定番だったモウリーニョが…。

試合開始直後から積極果敢に仕掛けさせたモウリーニョ。しかし、その決断は裏目に出てしまった……。 (C) Getty Images

 11月5日に行なわれたプレミアリーグ11節のチェルシー対マンチェスター・ユナイテッドの一戦は、その勝敗の行方とともに、ジョゼ・モウリーニョの采配が注目されていた。
 
 アウェーでのビッグゲームでは手堅い戦術を用いるのが、モウリーニョの十八番。しかし巷では、その守備的な戦い方へ批判も聞こえ始めていた。スコアレスドローに終わった8節のリバプール戦を機に、3、4点差をつけての圧勝を重ねた序盤戦の勢いが失われたと見られているのだ。
 
 対するチェルシーは、5日前のローマ戦(チャンピオンズ・リーグ)で3失点を喫して敗れたばかり。その守備の乱れ具合といい、交代時に不満を露わにしたダビド・ルイスに代表されるきな臭さといい、マンチェスター・Uにすれば、優勝争いのライバルの「叩き時」であるという見方が識者たちからも聞かれた。
 
 元マンチェスター・UのCBリオ・ファーディナンドも、その1人だった。
 
 優勝争いにおいては、結果重視の戦法も必要だとしてモウリーニョ流の采配に理解を示しつつも、今回のチェルシー戦では、「マーカス・ラッシュフォード、ロメル・ルカク、アントニー・マルシアルのトリオの初先発を期待したい」と、攻撃的オプションの選択を期待した。
 
 実際、試合では、そのクラブOBの求めたような攻めの姿勢が選択された。我を貫いてきたモウリーニョが世間の批判を受け入れたということではなく、優勝争いのライバルにダメージを負わせる好機と睨んだわけだ。
 
 前線は、ラッシュフォードとルカクの2トップだったが、マンチェスター・Uは、立ち上がりからラインを上げ、左右のウイングバックが敵陣内のアウトサイドに張り出すようにして攻撃を仕掛けた。
 
 だが、結果的には肝心の自軍が、相手を「叩きに行く時」にはなかった。オープンな試合展開で、真っ向から受けて立ったチェルシーと互角に攻め合ったのは15分あたりまで。その後は、次第に主導権を握られていった。
 
 ダイナモのエヌゴロ・カンテがハムストリングの故障から戦線に復帰したチェルシーの中盤では、ティエムエ・バカヨコが果敢に攻め上がり、攻撃の糸を引くセスク・ファブレガスには、エデン・アザールが前線から下がってきて頻繁に絡んでいた。

次ページモウリーニョの言い分には頷けない部分も。

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