インテルが恐れるイカルディ契約書の“ある条項”とは?

2017年10月26日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

2つの可能性が検討されている。

10節にして早くも二桁ゴールを達成したイカルディ。インテルはこのエースを繋ぎとめられるか。写真:Alberto LINGRIA

 8節ミラノ・ダービーでのハットトリックでサン・シーロの王者となるなど、10節にして早くも11ゴール。インテルのマウロ・イカルディが眩い輝きを放っている。
 
 インテルとの契約は文字通りトッププレーヤーのそれだ。ただしそこには、危険な条項がひとつ含まれている。来年7月28日までに1億1000万ユーロ(約143億円)の違約金を支払えば、イタリア以外のクラブへの移籍を前提に契約を解消できるというのがそれだ。
 
 今夏のネイマール移籍で一気に値段が高騰したメルカートの現実に照らし合わせれば、けっして安心できる額ではないだろう。
 
 この条項によるエース退団を怖れるインテルは、イカルディを繋ぎ止めるための新たな合意を模索している。すでに両者のコンタクトは始まっており、2つの可能性が検討されている。
 
 ひとつは、国外移籍を対象とする違約金の金額を引き上げると同時に国内移籍にも高額の違約金を設定する。もうひとつは、違約金条項そのものを取り去ってイカルディの良心と忠誠心にすべてを委ねるというものだ。
 
 後者の場合のイカルディは、本当に「断れない」タイプのオファー以外は受け入れない、という紳士協定をクラブとかわすことになるだろう。
 
 インテルにとってエースにとってキャプテンのイカルディはプロジェクトの中核であり、クラブの将来を担う大黒柱なのだ。これだけのプレーヤーを、ヨーロッパ中のメガクラブが欲しがるのは当然の話だが……。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
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