再浮上のコンドグビア、バレンシア完全移籍とフランス代表復帰も?

2017年10月25日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

ポグバにも比肩すると言われた潜在能力が改めて…。

スペインで水を得た魚のように躍動するコンドグビア。評価が再び右肩上がりに。写真:Rafa HUERTA

 走り、ボールを奪い、ゴールを決める。守備はもちろん攻撃まで――。サンチャゴ・ベルナベウでの開幕戦から奮迅の働きだった。生まれ変わったジョフリー・コンドグビアはバレンシアのシャツを着てスペイン語を話し、持てるタレントのすべてをピッチ上で解き放っている。
 
 居場所を失ったインテルから今夏、買い取りオプション付きのレンタルでバレンシアに移籍。買い取り額は2500~2700万ユーロ(約32億5000万~35億円)に設定済みだ。さらにインテルは次回移籍時売却益の30%を受け取る権利も確保している。
 
 バレンシアに移籍してきた当初、コンドグビアを見る目は悲観的なものだった。
 
「セビージャやモナコ時代のプレーは戻ってくるのか?」
 
 2年前の夏、モンテカルロの高級ホテルでインテルとミランが張り合い、移籍金が3500万ユーロ(約45億5000万円)まで吊り上がったのも、攻守両局面で質と量を両立させるそのプレーがあまりに魅力的だったからだ。しかし、インテルでの2シーズンは期待を裏切るものだった。
 
 だが、新天地バレンシアのマルセリーノ・ガルシア・トラル監督が4-4-2システムの中盤センターで司令塔ダニエル・パレホとペアを組ませ、シンプルにかつ思い切り良くプレーできる環境を与えたことで、本来の持ち味が蘇った。同い年の同胞ポール・ポグバとも比肩すると言われたポテンシャルが、改めて開花しようとしているのだ。
 
 フランス代表のディディエ・デシャン監督は1年以上ぶりの代表招集を、そしてバレンシアは保有権の買い取りを本気で考え始めている。クラブは4年契約を結び高額の違約金を設定して、チームの柱に据えようという狙いだ。確かに今のパフォーマンスが続くのならば、それだけの価値はあるだろう。
 
 残念ながら現在は怪我のリハビリ中だが、12月までには復帰する見込み。コンドグビアが価値を証明するチャンスはまだまだある。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
 
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