【コラム】バロテッリはバロテッリのまま…イタリア代表復帰は夢で終わるか

2017年10月20日 片野道郎

ニースで復活しコンスタントに結果を残す。

イタリア代表復帰も囁かれていたラツィオ戦のバロテッリだが、相変わらずの課題を露呈した。(C)REUTERS/AFLO

 現地時間10月19日のヨーロッパリーグ(EL)第3節、グループKの首位対決となったニース対ラツィオは、アウェーチームが3-1で勝利を収め、3連勝で単独首位に立った。
 
 イタリア側から見たこの試合の注目ポイントは、昨シーズンからニースに所属する元イタリア代表FWのマリオ・バロテッリだった。
 
 17歳でインテルから鮮烈なデビューを飾り、アッズーリのエースとして臨んだEURO2012では準決勝ドイツ戦で2ゴールを叩き込んで世界中の注目を集めた「怪童」も、気がつけばもう27歳になった。
 
 ブラジル・ワールドカップでイタリアのグループリーグ敗退の戦犯扱いされ、その直後にミランから移籍したリバプールでもまったく使い物にならないまま2年で戦力外扱いを受けて、どこにも行き場がなくなったところをメルカート最終日にニースに拾われたのが1年前、2016年夏のことだ。
 
 移籍金はゼロ。獲得時に2000万ユーロ(約26億円)を支払ったリバプールにとっては大損もいいところだが、それでも厄介払いをしたかったということなのだろう。
 
 ところが、文字通り壁際に追い詰められた昨シーズンのバロテッリは、23試合で15得点を挙げて、ニースのリーグ・アン3位躍進に貢献。サポーターのアイドルになった。
 
 かつてはトレードマークだったピッチ外の奇行もすっかり影を潜め、すっかり「更生」に成功したようにも見える。最近も新しいガールフレンドとの間に長男(自身にとっては2人目の子供)が生まれ、10月17日にはインスタグラムで写真を公開している。
 
 今シーズンも開幕からリーグ・アンは6試合で5得点、ELでも2試合で2得点と飛ばしているだけに、このラツィオ戦では、「ついに本当の覚醒を果たしたバロテッリの姿が見られるかもしれない」という半ば興味本位、半ば本気の期待が高まっていたのだった。
 
 ちょうど、半月後に迫ったワールドカップ欧州予選プレーオフで難敵スウェーデンと戦うことになったイタリア代表が、エースのアンドレア・ベロッティ(トリノ)を怪我で欠きそうな雲行きということもあり、この試合で際立ったパフォーマンスを見せ完全復活をアピールすれば、14年11月以来の代表復帰の可能性も出てくるのではないかという憶測も飛び交っていた。
 
 その圧倒的なフィジカル能力から優れたテクニックまで、天から与えられたタレントに話を限れば、今なお世界トップレベルのCFに化ける可能性を備えていることに変わりはない。それが全面的に解き放たれた瞬間を一度でも見たことがあるならば、バロテッリの覚醒に夢を託したい気持ちを100%捨て去るのは誰にとっても難しい。
 

次ページ徐々に「いつもの悪い癖」に陥りはじめる…。

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