【英国人コラム】W杯出場決定、ユース年代の躍進!…それでも存在感が薄いイングランド代表

2017年10月20日 スティーブ・マッケンジー

W杯出場を決めた一戦で露呈した厳しい現実…

ケイン(右)やラッシュフォード(左)といった将来が期待できる若い選手は台頭し始めてはいるものの、人々の興味を惹きつけるまでには至っていないようだ。 (C) REUTERS/AFLO

 その昔、私がまだ子どもだった頃のイングランド代表には、国内リーグで輝きを放つスターが数多く名を連ねていた。
 
 私を含め、国民の誰もが、その一挙手一投足に注目し、代表戦の結果を心待ちにしていた。サッカーファンではない人でも、世間話のために観戦していたほどだった。
 
 しかし、現在は違う。代表チームに対しては、一般層はもとより、国内のサッカーフリークたちですら無関心なのだ。それは、現地時間10月5日に本拠地で行なわれたロシア・ワールドカップ欧州予選のスロベニア戦で無情にも露呈された。
 
 舞台は"聖地"ウェンブリー。しかも、勝てば6大会連続15回目のワールドカップ出場が無条件で決まる一戦である。しかし、ファンの関心は試合内容ではなく、会場で配られた型紙のメンバー表を使って作られた紙飛行機の行方だった……。
 
 スタンドには空席が目立ち、最大9万人のキャパシティーに対し、ウェンブリーがリオープンした2007年以降の公式戦で、ダントツのワーストである6万1598人しか入らない始末だった。
 
 試合終了時には、ほとんどのファンが席を去り、そそくさと家路に着いた。ハリー・ケインの終了間際の劇的な決勝弾で1-0と接戦を制してワールドカップ出場を決めた代表戦士を祝福するファンもまばら……。本来、エキサイティングなはずの代表戦において、その光景は異様と言えた。
 
 この時、代表指揮官のガレス・サウスゲイトは「全ての反応に気づいていたよ」と語って、次のように続けた。
 
「この選手たちで勝利するためには、サポーターからの助けが必要だ」
 
 監督自らが応援要請をするまでにファン離れ進んだ理由は、サウスゲイト監督率いるイングランド代表が退屈なサッカーを繰り返していることもあるが、何より、日々、巨大化していくプレミアリーグの存在が挙げられる。
 
 仮に読者のあなたが、イングランド代表の試合を観に行ったとしよう。そこであなたは、周辺にチェルシーやマンチェスター・ユナイテッド、リバプールなどのメガクラブのファンが少ないことに気づくはずだ。
 
 そう、今やウェンブリーで代表を応援しているのは、ウォルバーハンプトンやダービー、ノーリッジといった日本人には馴染みの薄いチームのファンばかりだ。メガクラブのファンのほとんどはスペクタクルをクラブチームに求め、代表チームを下に見る傾向が強まっている。

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