【現地発】マスコミも批判を休止? イタリアが「らしくない挙国一致」でW杯を目指す

2017年10月13日 片野道郎

マケドニア戦は新機軸の3-4-3が機能せず…。

何とかプレーオフ進出を決めたイタリア代表。しかし、ここ数試合のパフォーマンスは……。(C)Getty Images

 10月8~10日の最終節でレギュラーシーズンを終えたロシア・ワールドカップ欧州予選。全9グループで首位となった9か国(フランス、ポルトガル、ドイツ、セルビア、ポーランド、イングランド、スペイン、ベルギー、アイスランド)が本大会出場を決め、2位になった9か国の中で最も勝ち点が少なかったスロバキアを除く8か国(スウェーデン、クロアチア、イタリア、デンマーク、スイス、北アイルランド、アイルランド、ギリシャ)が、残る4枠を争って11月に行われるプレーオフを戦うことになる。
 
 グループGを戦ったイタリアは、同居するスペインとの直接対決で1分け1敗に終わり、2位でプレーオフに回ることになった。3位アルバニアとの勝点差10を見ると、とくに苦しまなかったように見えるかもしれないが、実際はまったくそんなことはなかった。
 
 9月のスペイン戦(アウェー)で0-3の完敗を喫したことで、ジャンピエロ・ヴェントゥーラ監督の手腕に大きな疑問符が投げ掛けられたことは、当時レポートした通りだ。
 
【現地発】あのイタリア代表が「戦術的な時代錯誤」…監督の手腕が槍玉
 
 10月の残り2試合は、マケドニア、アルバニアという格下が相手だというだけでなく、勝点1を挙げればプレーオフ出場が確定するという楽な状況だったこともあり、スペイン戦で限界を露にした4-2-4に代わるシステムを見出し、11月のプレーオフに向けて万全の体制を整えるための準備という位置づけだった。アッズーリを取り巻く空気は、比較的緩いものだったと言っていいかもしれない。
 
 ところが、10月6日にトリノで行われたマケドニア戦は、これが代表の先発デビューとなったシモーネ・ヴェルディ(ボローニャ)を右ウイングに配してチーロ・インモービレ、ロレンツォ・インシーニェと3トップを組ませた3-4-3がまったく機能せず、1-1の引き分けに終わる。
 
 イタリアの得点は、セットプレーで前線に上がっていたジョルジョ・キエッリーニが、その二次攻撃からのクロスを押し込んだもの。90分を通して、通常のオープンプレーからは良い形がほとんど作れなかった。
 
 ダニエレ・デ・ロッシ、マルコ・ヴェッラッティというレギュラーが怪我で不在の中盤センターに、マルコ・パローロ、ロベルト・ガリアルディーニという縦の運動量が持ち味の選手を配したのは、おそらく前線への攻め上がりで攻撃に厚みをつけようという意図からだろう。しかし、最終ラインからのビルドアップが相手のプレスをかわせず簡単に行き詰まり、スムーズな組み立てからチーム全体を押し上げる場面は稀。中央のゾーンを良い形で使えず、最後の30メートルではサイドにボールを逃してそこからクロス、という単調な攻撃しかできなかった。
 

次ページマスコミはこぞってヴェントゥーラ監督を批判。

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