【藤田俊哉の目】反省すべきハイチ戦でプロフェッショナルだったのは長友。何をすべきか理解していたのは…

2017年10月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

ハイチ戦は2点目を取ってからの戦い方が意思統一されていなかった。

ハイチ戦での数少ない好材料は、長友が見せたプロフェッショナルな姿勢だった。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

 10日に行なわれたハイチ戦は、3対3のドローに終わったね。
 
 久しぶりに現地観戦して代表戦の雰囲気を味わったけれど、こんな結果になるとは想像もしていなかった。FIFAランキングが近いチームの対戦(日本は40位、ハイチは48位)だったとはいえ、2点のリードを守り切れなかったことには、大いに反省点が残る。
 
 スタートは上々だった。序盤で相手のミスを突いて2点のリードを奪って理想的な滑り出しを見せた。そこまでは良かった。しかし、28分に失点してからチームのリズムが狂い始めた。
 
 縦パス1本で簡単にマークを剥がされた1失点目しかり、セットプレーから不意を突かれた2失点目しかり、シュートブロックの寄せが甘くてミドル砲を叩き込まれた3失点目しかり。失点シーンのほとんどは一瞬の気の緩みが原因だったが、2点のリードを奪ったのであれば、完全にゲームコントロールしてほしかったよね。
 
 代表キャップ数が一桁台の選手がスタメンに6人いたけれど、経験不足はエクスキューズにはならない。「2対0」から「2対3」にされるという展開なんて代表戦で見たくない。後半アディショナルタイムに香川のゴールでドローに持ち込んだものの、とても喜べない状況だった。ゲーム内容に関しても、ポジティブな点を挙げればいいのか…。代表戦では珍しく考え込んでしまった。
 
 本当ならば、2対0になった時点で、チームとしてゲームをコントロールしていく態勢に入っていくものだが、戦い方の意思統一がなされていなかったように見えた。最終ラインを下げてカウンター狙いへとシフトしていくべきか。それとも、高い位置からプレスをかけ続けるのか。どちらを選択しても3点、4点、5点と追加点を狙える状況だった。
 
 センターラインの軸が揃って不在だったとはいえ、代表に選ばれる選手ならば、そうしたコミュニケーション能力と状況判断力を持ち合わせているはずだが、この試合は個々のジャッジがあらゆる場面で甘かった。だから「2対0」から「2対3」というスコアになってしまったのだろう。
 
 逆に言えば、個々のジャッジ、つまり個々のプレーが正しければ、自然と「2対0」から「3対0」、「4対0」という展開になっていたはずだ。しかし、そうした戦い方がチームとしてできなかったのだから、テスト組に対して「合格点」を与えることはできない。

次ページチームに対して要求できる選手であることを証明した小林。

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