【岩政大樹の視点】お粗末な「打たせ合い」になったハイチ戦。日本の対応力欠如に危機感を覚えた

2017年10月11日 岩政大樹

「ハマれば素晴らしい」が「ハマらなければ流れを引き戻せない」。

前半に幸先よく2ゴールを奪ったのは、ハイチの守備がまったく整備されていなかったからだ。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[キリンチャレンジカップ2017]日本 3-3 ハイチ/10月10日/日産スタジアム

 お粗末な試合になりました。「打ち合い」というより、両チームともに戦い方が整備されていないことで「打たせ合い」のゲームとなってしまいました。

 前半の立ち上がり。日本は再三にわたってチャンスを作り、ゴールもふたつ奪いました。これは「日本が良かった」というより、ハイチの守備が驚くほど整備されていないことから起こっていました。
 
「守備が整備されていない」とは、ハイチ代表が「サッカーにおいて最もケアすべきエリアをまったくケアしていなかった」ということです。
 
 守備をする際は、どこにもポッカリとスペースが開かないことが理想ですが、この日のハイチ代表や日本代表のように、「スペース」より「相手」を意識してポジショニングをすると、当然ながらどこかにスペースが開いてしまいます。しかし、サッカーの守備において極力開けてはいけない、最もケアすべきスペースというのがあります。それはセンターバックの前のスペース=「バイタルエリア」と呼ばれるところです。
 
 にもかかわらず、前半のハイチ代表はふたりのボランチの選手が驚くほど離れてポジションを取り、かつバイタルエリアを使われた際に戻る意識も薄かったので、日本は好き放題攻めることができていました。
 
 後半になるとハイチ代表はシステムを変え、そのふたりのボランチの間にアンカーのような選手を配置して、そのスペースを人で埋めてきたので、日本も後半は攻めあぐねましたが、なぜ前半にあれほど自由にバイタルエリアを与えてくれたのか疑問です。
 
 一方、日本代表は無意識レベルだと思いますが、前半にあまりにも好き放題攻められたので「負けるはずがない」というムードがどこかにあり、ハイチ代表が配置を変えてきただけで一時は逆転までされる、という大味な試合をしてしまいました。
 
 今の日本代表の問題点はやはり、"対策をとってきた相手"への対処が、柔軟に行なわれないことだと思います。つまり、「ハマれば素晴らしい」けど「ハマらなければ流れを引き戻せない」のです。

次ページハイチ代表のシステム変更に選手たちは戸惑っていた。

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