【川崎】ACLの敗戦を糧に掴んだルヴァン杯決勝の切符。シルバーコレクターの汚名を返上する時が来た

2017年10月10日 本田健介(サッカーダイジェスト)

退場者を出した後にチームとして意識したのは――。

仙台戦は10人での戦いを強いられたが、しぶとく勝利。8年ぶりの決勝進出を決めた。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

[ルヴァン杯準決勝 第2戦]川崎 3-1 仙台/10月8日/等々力
 
 ルヴァンカップ準決勝の第2戦、第1戦を2-3で落としていた川崎は、三好康児の2ゴールで49分までに逆転に成功した。しかし、その3分後、CBの奈良竜樹が2度目の警告を受けて退場となった。
 
 リードを得ながら10人での戦いを強いられる。この展開に多くの人の脳裏には約1か月前の苦い記憶が蘇ったはずだ。ACL準々決勝の第2戦。浦和と対戦した川崎は痛恨の逆転負けを喫した。先制に成功しながら前半のうちに車屋紳太郎が退場すると、守備を固めて逃げ切りを図るも、第1戦で得ていた2点のリードも守れずに涙を飲んだ。
 
 あの二の舞になるのではないか。スタジアムに不穏な空気が漂うなか、案の定、奈良の退場から7分後には仙台に1点を返されてしまう。その後も仙台の攻勢を浴びたが、ただしこの日の川崎は浦和戦の経験を活かしてしぶとく戦った。
 
 あと1点を返されるとトータルスコアで逆転される状況で、すでに奈良の穴を埋めるためにCBとして板倉滉を投入していた鬼木達監督は、66分には長谷川竜也、83分にはハイネルと攻撃のカードを切った。
 
 浦和戦では退場者を出したあとに中村憲剛をベンチに下げ、疑問符を投げかけられた指揮官はこの日の采配の意図をこう語る。
 
「守ってという形ではなく、どこかで攻める形を取らなくてはいけなかった。その可能性があったので、そういう(展開に対応できる)選手をベンチにも置きましたし、色々な状況を想定して戦いました。プラス、あの時点で延長というのは僕の中では考えられなかったですし、延長に入ったら厳しいなとも思っていたので、とにかく90分でケリをつけるための投入でした」
 
 鬼木監督は浦和戦を「学ぶべきことが多かった」と振り返る。そして教訓から導き出した交代策はズバリ当たった。仙台の攻撃に耐えて迎えた90分、ゴール前でボールを受けた長谷川が左足を一閃。トドメの3点目を突き刺したのだ。
 
【PHOTO】川崎 3-1 仙台|三好が鮮やかな2発! 逆転で8年ぶりの決勝へ
 

次ページ隙のないチームになりつつある。

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