ジダンの息子など有望株が躍動! UEFAユースリーグはバルサの優勝で幕

2014年04月16日 中野吉之伴

大会のレベルは総じて高かった。

決勝でも2ゴールのムニル・エル・ハダディが10試合・11得点と輝いた大会だったが、バルセロナは決して個の力に頼るチームではなく、伝統の「ティキ・タカ(ショートパス主体のポゼッションサッカー)」が確実に浸透していた。 (C) Getty Images

 4月14日、快晴に恵まれたスイスのニヨンで、U-19世代のチャンピオンズ・リーグ(CL)として今シーズンから始まったUEFAユースリーグの決勝が開催され、ベンフィカU-19を3-0で下したバルセロナU-19が、初代チャンピオンの栄冠を手にした。

 この大会は、純粋にU-19世代の最強チームを決めるのがその目的ではない。参加資格はトップチームがCL本戦を果たしたクラブが得る。グループステージの組分けも日程もトップチームと同じで、各グループの上位2チームが決勝トーナメントに進出する。そこからはフォーマットが異なり、ホーム&アウェーではなく、どちらかの会場での一発勝負だ。延長戦もなく、90分で決着がつかない場合はすぐにPK戦となる。

 トップチームやセカンドチームに昇格している選手が多いクラブもあり、各国同世代での最強チームが顔を揃えたわけではない。そのため、本家のCLでは考えられないような結果も起こる。グループステージでバイエルンがCSKAモスクワに0-2で完敗したり、オーストリア・ウィーンが決勝トーナメント進出を果たしたりした。そのあたりに疑問の声がないわけではない。

 UEFAのジャンニ・インファンティーノ事務総長は、
「UEFAとしては、このUEFAユースリーグでさらなる経験を積むことが、トップチームへの扉を開けるチャンスの手助けとなることを目的としている」
 と語り、この大会が重要な位置付けになるよう期待を述べた。

 いずれにしても、CL本戦出場がクラブの育成にとって大きな意味を持つことになる。グループステージのアウェー戦は、同日程のトップチームと一緒に移動する。欧州最高峰の戦いに挑むスター選手と間近に接するのが、若い選手たちの刺激にならないはずがない。また、試合は昼間に行なわれるので、夜はCLを観戦できる“ボーナス”もある。ただ、試合開催が平日のため、学校の授業に出席できなくなるのは問題だ。そのあたりの折り合いを各クラブがどのようにつけていくかが、今後重要になってくるだろう。

 大会のレベルは総じて高かった。多くのクラブが積極的な攻撃サッカーを志向していた。今大会でも最終的に優勝し、育成と言えばバルセロナという声が多く聞かれるなか、準優勝のベンフィカも非常に質の高いサッカーを披露していた。各クラブが自分たちのサッカーを分析し、試行錯誤を繰り返し、好タレントを育てている。このユースリーグを戦うことでさらに意見交換が進み、それぞれのサッカーに反映されていくはずだ。

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