衝撃の番狂わせ!なぜ「最少得点」の甲府は「最少失点」の横浜から3点を取れたのか

2017年09月24日 大島和人

横浜戦勝利の立役者は、立役者は誰がどう見てもドゥドゥだ。

3得点に絡んだドゥドゥ(10番)は、明らかにコンディションを上げている。写真:徳原隆元

[J1リーグ27節]甲府3-2横浜/9月23日/中銀スタ

 J1最少得点の甲府が、J1最少失点の横浜から3ゴールを奪って勝った。しかも甲府にとって3得点は今季最多のスコアだ。残留圏内に沈み、6月と7月の6試合は1得点も決められなかったチームに光が差し込む試合だった。
 
 立役者は誰がどう見てもドゥドゥだろう。何しろひとりで2得点を決め、3点目のPKも獲得したのだ。今季はまだ4得点だが、その状態は間違いなく上昇曲線を描いている。
 
 彼は昨年11月に左膝の手術を受け、今季はなかなか本来の動きを取り戻せていなかった。しかし8月末の24節・川崎戦で見違えるようなプレーを見せて今季2点目を決め、さらに23日の27節・横浜戦でも際立った活躍を見せた。
 
 吉田達磨監督も「コンディションが整って踏ん張れるようになった。ドゥドゥが絡みついてくるのは(相手にとって)脅威だと思います」と彼の復調を喜ぶ。
  
 コンディションの上昇と並ぶ好調の要因は2トップのコンビネーションだ。11分の先制点は、まさにドゥドゥとリンスの関係から生まれたもの。中盤でボールを受けたドゥドゥは相手をいなして中央から持ち上がり、リンスにパスを出した。リンスの左には田中佑昌がフリーで動いていて、ドゥドゥに戻す選択肢もある状況だった。
 
 ドゥドぅは振り返る。
 
「彼に『シュート!シュート!』と声をかけて、こぼれることを信じてゴール前に入った」
 
 リンスのシュートはポストに嫌われたが、ドゥドゥがこぼれ球を落ち着いて流し込んだ。
 
 2点目はドゥドゥが相手の横パスをカットして独走した流れから。GK飯倉大樹との駆け引きを制し、1対1からニアに流し込んだ。
 
 3点目につながった仕掛けは、彼が中澤佑二に「絡みついた」ことから生まれた場面。相手有利の体勢からボールを追い、懐に入り込み、そのまま粘る――。ドゥドゥはそんなプレーで本来の切れ、球際の粘りを取り戻していることを証明して見せた。
 
 しかし彼は直後のPKをリンスに譲った。ドゥドゥはこう振り返る。
 
「2点決めていたので、チームメイトのことを考えた。リンスに気持ちよく点を決めて欲しかった」

次ページ吉田監督も「それぞれがどこにいるか、どこにいるべきかが見えてきた」と評価。

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