【現地発】16歳FWがイタリアで台頭! 実力はイブラ級、値札はエムバペ級にも?

2017年09月20日 片野道郎

いずれはイブラヒモビッチ級のモンスターにも。

ラツィオ戦でドッピエッタを記録したペッレグリ。弱冠16歳の超新星だ。写真:Alberto LINGRIA

 9月17日のセリエA4節ジェノア対ラツィオ戦は、今シーズン絶好調のチーロ・インモービレが前節のハットトリックに続くドッピエッタ(2得点)を決めて、3-2でアウェーのラツィオが勝利を持ち帰った。
 
 しかしこの試合で最も大きな注目を集めたのは、もうひとつのドッピエッタを決めた選手、ジェノアのCFピエトロ・ペッレグリだ。
 
 2001年3月17日生まれの弱冠16歳。昨年12月、15歳280日でセリエAデビューを果たして79年前の最年少出場記録に肩を並べ、5月には昨シーズン最終戦となったローマ戦(フランチェスコ・トッティの引退試合)でセリエA初ゴール(史上3番目の若さ/21世紀生まれでは5大リーグ初の得点者)を決めるなど、すでに大きな注目を集めてきたビッグタレントである。
 
 身長196cmという大型の体格だが、その高さと比べればずば抜けたコーディネーションの持ち主で、身のこなしは敏捷、スピードも爆発的な初速を誇るという怪物だ。
 
 本人の憧れはズラタン・イブラヒモビッチ。その元スウェーデン代表FWのように威圧的で厚かましい振る舞いを見せるわけではないし、体格的にも比べればまだ線が細いが(78kg)、ペッレグリはまだ16歳。身長もこの1年で3cmほど伸びるなどまだ成長は止まっておらず、ゆくゆくはイブラヒモビッチ並みのモンスターに化ける可能性もある。
 
 プレースタイルも大型FWにありがちな、最前線中央で基準点となり縦パスを収めてチームの押し上げをサポートするといったものではなく、むしろオフサイドライン上でDFと駆け引きしながら裏を狙ったり、敵2ライン(DFとMF)間で前を向いてドリブルで仕掛けたりという、スピードとテクニックを武器とするCFのそれだ。ラツィオ戦での2ゴールも、いずれも裏への飛び出しでDFを出し抜いて決めたものだった。
 
 昨シーズン最終戦で決めたセリエA初ゴールも、敵陣の浅い位置から裏に飛び出し、並走するコスタス・マノラスをぶっちぎってそのままシュートという典型的なカウンターアタックから。スピードとフィジカルコンタクトを含めた対人能力ではセリエA屈指のCBであるマノラスに走り合いで競り勝つというのは、並みのFWには無理な注文である。
 
 昨シーズン主にプレーしたプリマベーラ(U-19)、そしてU-17代表などユースカテゴリーの試合では、中盤に下がってパスを受けたところから体格とパワーにモノを言わせた強引なドリブルでゴールを目指すという、それこそアヤックス時代のイブラヒモビッチを彷彿とさせるようなプレーも見せていた。
 
 しかし、そんなプレースタイルがセリエAでは通用しないことは、本人も周囲もよく分かっているということだろう。

次ページ15歳にして大物ぶりを象徴するエピソードが満載。

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