香川も指摘する攻撃のアイデア不足、そして守備も…新生ドルトムントの現状と課題とは!?

2017年09月16日 中野吉之伴

豊富な“武器”をどのように活かすのか――

創造力に欠ける現在のドルトムントにおいて、香川は変化やアクセントを与えられる存在だと言えよう。右はダフード。 (C) Getty Images

 ブンデスリーガ第3節のフライブルク戦、ドルトムントはスコアレスドローに終わった。前半途中に退場者を出した相手に対し、1時間以上も数的有利な状況で攻め続けながら、最後まで相手の守備を崩すことができなかった。


 この日、出場のなかった香川真司は、次のように分析している。
 
「チームとして、攻撃のかたちを作るのがなかなかうまくいっていないのかな、と。この1試合に限らず、3試合を見ても、もっとアイデアを増やし、攻撃の質を高めていかないと。攻撃のバリエーションがなかったのかなと思います」
 
 香川の言葉通り、フライブルクの全選手が自陣深くに戻って築いた壁の前で、ドルトムントはただボールを回すばかりだった。
 
 クリスティアン・プリシッチの突破力、ピエール=エメリク・オーバメヤンの得点力、そして新加入アンドリー・ヤルモレンコの破壊力と、前線に武器は揃っている。では、その武器をどのように活かすのか。
 
 気になるのは、ボールを自陣からどのように運ぶのか、というのがあまり整理されていない点だ。ここまでCBでプレーするソクラティス・パパスタソプーロスも、マルク・バルトラも、エメル・トプラクも、ボールを持ったまま出しどころを探しては結局、横パスかバックパスという場面が散見される。
 
 ビルドアップからボールを前線に運ぶのは、攻撃の大事な第一歩。そのためには、相手にボールを持たされるのではなく、自分たちから意図的に持てる状況を作ることが理想だ。
 
 つまり、彼らDFがボールを持った時に前の選手が呼応して動き出し、狙い通りにボールを呼び込み、そこから一気にチャンスを作り出せるようなイメージの共有ができていることが望ましい。
 
 チャンピオンズ・リーグのトッテナム戦の前半では、比較的うまくボールを運べたように見えた。これはこの日、中盤でスタメン起用された香川やマフムード・ダフートが中盤の深い位置まで下がって、そこから運び出していたおかげでもある。
 
 ただ、これだとボールを前線に運べても、本来、前線に顔を出すべき2人がいないわけだから、そこから先に持ち込むのが難しくなる。この辺りは、今後への課題として取り組まれていくことだろう。
 
 トッテナム戦でも、後ろからうまくボールを運べている時間帯では、相手守備間のスペースでボールを受けた香川からのパスで、何度か好チャンスを作り出せていた。DF陣だけでボールをそこまで運ぶ頻度が増えてくれば、おのずと攻撃の歯車はよりスムーズに回るはずだ。

次ページ守備面での“迷い”は早期に解消すべし

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事