【番記者通信】自力4位が消滅…急ブレーキのなぜ|アーセナル

2014年04月09日 ジェレミー・ウィルソン

スアレス、ドラクスラーを取り逃したツケが回った格好だ。

4位の座を争うエバートンに敗れ、CL出場権の自力確保が消えたアーセナル。エジルなど主力に相次いだ故障離脱が痛恨だ。 (C) Getty Images

 4月6日のエバートン戦で、アーセナルはまったくと言っていいほど力を発揮できずに0-3で完敗した。この結果、自力での4位圏フィニッシュが消滅した。言うまでもなく、チャンピオンズ・リーグ(CL)の出場権は4位以内に与えられる。

 プレミアリーグは、直近の9試合でわずか2勝(3分け4敗)。選手からは覇気が感じられず、4連勝と波に乗るエバートンと勢いの差は歴然としていた。シーズンが佳境に入ったこの時期の不振は致命傷と言っていいだろう。

 首位を快走していた2月から一転、急ブレーキがかかった原因はいったいどこにあるのか?

 最大の要因は、故障者の続出だろう。メスト・エジル、ジャック・ウィルシェア、セオ・ウォルコット、そしてロラン・コシエルニーと、アーセナルの医務室は怪我人でフル稼働中だ。アーロン・ラムジーが大腿部の故障から復帰したのは朗報だが、大ブレークを遂げたこのウェールズ代表MFの、約3か月に渡る長期離脱は痛かった。これだけ主力を欠いたら、ラストスパートなど当然望むべくもない。

 陣容の物足りなさは、間違いなく失速の一因だ。とりわけ、オリビエ・ジルーに頼りきりのCFは駒不足が深刻である。経験不足を露呈するばかりのヤヤ・サノゴ、プレー以前に素行に問題を抱えるニクラス・ベントナーは、優勝を狙うチームにはまったくの場違いだ。ジルーひとりでプレミアとCL、FAカップを戦うプランニングは、「無謀」としか言いようがない。夏の移籍市場でルイス・スアレス(リバプール)、冬の市場でユリアン・ドラクスラー(シャルケ)を狙いながら取り逃したそのツケが、勝負どころで回ってきた格好だ。

 2月下旬からの大ブレーキで3位に終わった2007-08シーズン、同様の展開で4位に急落した10-11シーズンとともに、今シーズンの失速もファンの記憶に刻まれることになるのだろうか。

【記者】
Jeremy WILSON|Daily Telegraph
ジェレミー・ウィルソン/デイリー・テレグラフ
英高級紙『デイリー・テレグラフ』でロンドン地域を担当し、アーセナルに精通。チェルシーとイングランド代表も追いかけるやり手で、『サンデー・タイムズ』紙や『ガーディアン』紙にも寄稿する。

【翻訳】
田嶋康輔
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