【番記者通信】「デシマ」の夢を叶えるのは「聖なるイケル」|R・マドリー

2014年04月08日 パブロ・ポロ

出場した16試合は15勝1分け。うち11試合で無失点。

D・ロペスとの併用で、リーガでは控えに甘んじるが、持ち場のCLで好セーブを連発。デシマの夢は、カシージャス(右)が叶える。 (C) Getty Images

 イケル・カシージャスというGKについて語るべきことは、もはやないだろう。レアル・マドリーとスペイン代表の主将としてチームを牽引し、多くのタイトルを獲得してきた。だが、サンチャゴ・ベルナベウの観客は再確認した。カシージャスの偉大さを、だ。

 ドルトムントをホームに迎え撃ったチャンピオンズ・リーグ(CL)準々決勝の第1レグだ。カシージャスは相手の攻撃を完封し、チームに勝利をもたらした。今シーズンもリーガ・スパニョーラでは控えの立場で、出場するのはCLと国王杯だけだ。特筆すべきは、ゴールマウスに立った、その合わせて16試合の成績だ。なんと15勝1分け。そのひとつの引き分けも、トリノでのユベントス戦である。さらに、だ。16試合中11試合が無失点。952分連続無失点の自己ベストも更新している。

 ドルトムント戦で目立ったのは、そんな守護神に対するチームの厚い信頼だ。カシージャスがセーブをするたびに、チームメイトが彼のもとに駆け寄った。ダニエル・カルバハルが、ファビオ・コエントランが、ペペが……。セーブをしてはチームメイトと抱擁を交わすその姿は、カシージャスがいかに信頼され、愛されているのかを示すシーンだった。

 クオリティーもまったく落としていない。オフサイドにはなったが、マルコ・ロイスとの1対1をきっちり止めるなど、決定的なセービングは相変わらずだ。

「デシマ」(スペイン語で10の序数で、ここでは10回目のCL優勝を意味する)に向けて、マドリーは順調に進んでいる。その夢を叶えるためにもっとも必要なのは、チームメイトに愛され、チームを団結させることができる、“聖イケル”ことカシージャスなのだ。

【記者】
Pablo POLO|MARCA
パブロ・ポロ/マルカ
スペイン最大のスポーツ紙『マルカ』でレアル・マドリー番を務める敏腕記者。フランス語を操り、フランスやアフリカ系の選手とも親密な関係を築いている。アトレティコ番の経験もあり、首都の2大クラブに明るい。

【翻訳】
豊福晋
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