【釜本邦茂】現状で本田起用は厳しい。武藤嘉、小林祐、宇佐美らにも突き抜けてほしい!

2017年09月06日 サッカーダイジェストWeb編集部

杉本はもう少し長い時間で見たかった。

前半45分のみの限定起用となった本田だが、まだまだ本来のフォームを取り戻せていないようだ。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 ワールドカップ・アジア最終予選のサウジアラビア戦は、両者のモチベーションの違いが結果にも表われる形になったと思う。
 
 サウジアラビアは、オーストラリアの結果を受けて自分たちは1点を取って逃げ切れば、ワールドカップ出場が決まると分かっている。だから、攻撃にしろ、守備にしろ、局面での球際の争いではサウジアラビアの選手が一歩、二歩勝っていたように感じるよ。そうした小さな積み重ねが明暗を分けたように感じた。
 
 それでも前半は、高温多湿の環境や凄まじいアウェーの雰囲気のなかで、しっかり能力の高さを見せてくれた選手もいたし、まったく収穫がなかったわけではなかった。
 
 とくに、原口は豊富な運動量をベースに攻守両面で効果的な働きを見せていた。自分が担当するエリアではきっちり相手を抑え込んでいたし、チャンスと見るやどんどんスペースへ出て行った。欲を言えば、もう少しフィニッシュに絡んでいってほしかったけど、本大会でも期待が持てそうなパフォーマンスを見せてくれたよ。
 
 中盤でも山口が惜しいミドルを放つなど、積極性があった。あるいはスペインで好調を維持する柴崎やオーストラリア戦で豪快なミドルを放った井手口も、決定的な仕事は少なかったけど、中盤で相手の攻撃の起点を潰したり、スルーパスでチャンスメイクをする場面も見られた。
 
 ただ、後半に入ると、日本の良さは徐々になくなっていった。勝利が必要なサウジアラビアがどんどん圧力をかけてきて、その勢いをさばけなくなったからだ。現地の暑さも尋常じゃなかったようだから、選手たちは相当厳しかっただろう。
 
 そういうなかで、60分過ぎに岡崎に代えて杉本を1トップに投入したわけだけど、彼が最前線で効果的に機能したとは言い難かった。日本の選手には、かなり疲れが見えて、サポートも遅く、ミスも多くて、杉本にはちょっと酷な状況だったと思う。もちろんチーム内の序列というものがあるのだろうが、できればロシアへの布石として、こういう切羽詰まった"本気の"相手に対して新戦力がどれだけやれるのか、スタートから見てみたかった気がするよ。
 

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