【豪州戦|戦評】”モンスター”井手口が本領を発揮できた背景には…

2017年09月01日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

井手口、山口、長谷部の中盤が機能していたからこそ…

終盤の82分に豪快なミドルを叩き込んだ井手口。写真:サッカーダイジェスト

[W杯アジア最終予選]日本 2-0 豪州/8月31日/埼玉

 前半途中までは比較的静かな展開だった。中盤での潰し合いが目立ち、日本もオーストラリアもなかなかチャンスを作れなかった。両チーム合わせて最初の決定機は、38分のシーン。オーストラリアのレッキーがポスト直撃のシュートを放った場面だった。
 
 要するに、試合自体はスリリングというより、淡々と進んでいった印象だった。ホームの日本がガンガン攻め込んだというわけではなく、むしろ組織だった守備でオーストラリアの攻撃を封じ込んでいた。
 
 そこでとりわけ大きな役割を果たしたのが、中盤の3人。4-1-2-3システムを機能させるうえで肝となる、アンカーの長谷部、インサイドハーフの井手口と山口が巧妙かつアグレッシブな動きでオーストリアにスペースを与えなかった点が、試合の流れを左右する要因のひとつとなった。
 
 もちろん、CF大迫などの前線からのハイプレス、吉田と昌子の両CBの落ち着いた対応、酒井宏と長友の両サイドバックのマンマークと、それぞれの守備意識が戦ったのは事実だが、前線と最終ラインをつなぐ中盤が機能していたからこそチームとしてバランス良く戦えていたように映った。
 
 バランス良くと言っても、攻撃面はやや不十分だった。相手DFの裏へと蹴られたボールを山口が上手く処理できなかったりして、これが仮に香川なら違っていたかもしれないというシーンはあったが、それでも全体的にチームのバランスは整っていた。そうでなければ、もっとピンチがあったはずで、オーストラリアに主導権を握られなかった点で日本のパフォーマンスは及第点以上と言えた。
 
 その点でハリルホジッチ監督の采配はズバリ当たった。井手口、山口をインサイドハーフで組ませ、中盤の底に〝監視役"の長谷部を置く。運動量豊富な井手口と山口が相手にプレッシャーをかけ、それに連動する形で長谷部がセカンドボールを拾う。各々がそれぞれの役割をきっちりこなしたからこそオープンな展開にならず、どちらかと言うと地味な試合になったのだ。

次ページ井手口のポテンシャルをまざまざと見せつけられた。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事