【現地コラム】今季のマンUは本当に強いのか? 開幕3連勝で見えた復活への狼煙

2017年08月28日 山中忍

「引き分けの劇場」と揶揄された本拠地は本来の姿を取り戻した。

10ゴールを叩き出している攻撃陣と無失点を維持している守備陣が噛み合って、開幕3連勝のロケットスタートを切ったマンチェスター・U。 (C) Getty Images

 今シーズンのマンチェスター・ユナイテッドは強いのか?  プレミアリーグでの3試合を終えた段階で、印象は「強そう」から「本当に強い」へと早くも変わり始めている。
 
 唯一の開幕3連勝を飾ったマンチェスター・Uは、10得点・0失点という完璧とも言えるスタートを切った。まだ、強豪対決はなく、ウェストハム戦(〇4-0)、スウォンジー戦(〇4-0)、そして8月26日のレスター戦(〇2-0)と、格下相手の3戦ではあるが、逆にそれが今シーズンの強さの証とも理解されている。
 
 昨シーズンのプレミアリーグで6位に終わったマンチェスター・Uは、格下を攻めあぐねての取りこぼしが目立った。20チーム中最多の15引分けのうち11試合が、7位以下との対戦だった。それが今シーズンは確実に格下を叩いて3ポイントを奪っているのだ。
 
 しかも、本拠地オールド・トラッフォードで取れたことも大きい。「開幕3連勝は昨シーズンと同じだ」と、努めて冷静な指揮官のジョゼ・モウリーニョも、「今シーズンはホームで勝てている」と語る。

 昨シーズンは7節のストーク戦から4戦連続で引き分けたため(最終的に10分け)、本拠地が、これまでの愛称「夢の劇場」をもじって「引き分けの劇場」と呼ばれたりもした。
 
 だが、今シーズンは、今夏の移籍市場で獲得した大型CFのロメル・ルカクが2得点デビューを飾り、『BBC』の解説者で、元イングランド代表FWのアラン・シアラーが、「モウリーニョ体制下で最高の圧勝」と評した開幕戦から、オールド・トラフォードは本来の姿を取り戻している。
 
 そんなホームでの2戦目となったレスター戦では、カウンター狙いの相手にしぶとく守られ、さらに好セーブを連発した相手GKキャスパー・シュマイケルにルカクのPKまで止められたが、最後には勝負を決めてみせた。
 
 70分の先制点はCKから生まれたが、セットプレーでの怖さも昨シーズンとは段違いにある。ルカクの他にネマニャ・マティッチという194センチの大型ボランチをチェルシーから加え、そのほか長身のターゲットをなど、5、6人が相手ゴール前に居並ぶ光景は迫力満点だ。
 
 敵の守備陣にすれば、空中戦で競り負けることに加えて、マークし切れない不安もある。先制点の場面では、ゴール正面でフリーになっていたマーカス・ラッシュフォードが難なく右足でフィニッシュしている。

次ページ自信に満ち溢れる赤い悪魔にイブラ復帰の朗報も。

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