【番記者通信】クラシコが世界に示した「魅力」|R・マドリー

2014年03月31日 パブロ・ポロ

レフェリー非難は、都合の悪い事実に蓋をする策略か。

撃ち合いになったクラシコは、4-3でバルサに軍配。マドリーには悔しい結果に終わったが、魅力が詰まった一戦だったはずだ。 (C) Getty Images

 クラシコの翌週、世界中のメディアが伝えた。あの一戦はクラシコ史上最高の試合のひとつだったと。たしかに、両チームとも守備には不安をのぞかせたものの(バルサのそれは想像通りだったが、マドリーのほうは予想外だった)、それぞれのやり方で攻め続ける、素晴らしい90分間だった。

 クラシコ後の1週間、マドリーが主審の判定について激しく非難しつづけたのは、ある種の「策略」という見方ができる。バルサに2つのPKを与えたレフェリーを責めることによって、都合の悪い事実に蓋をしたと、そんな見方だ。例えば、クリスチアーノ・ロナウドとセルヒオ・ラモスの低調なパフォーマンスが、覆い隠したい事実だろう。攻守の両輪は、ともに不甲斐ない出来に終始した。そして試合後に主審の判定に対して語気を強めたのが、他でもないロナウドとラモスだった。カルロ・アンチェロッティ監督も、マルセロも、2人に比べたらずいぶんと冷静だった。リーガの優勝争いはまだ続くと分かっていたからだろう。

 マドリーにとってはこれからの戦いが重要になってくる。まずはドルトムント戦(チャンピオンズ・リーグ準々決勝)でいいプレーを見せ、ベスト4進出を決めたいところだ。

 今回のクラシコは、リーガが魅力的だということを世界に示した試合でもあるだろう。クラシコは世界を虜にした。バルサ、アトレティコ、マドリーと3チームが僅差で優勝を争っている点も魅力的だ。バイエルンを誰も抑えられないブンデスリーガとは比較にならない。ドイツでは毎試合スタジアムは満員になるかもしれないが、タイトルレースのスペクタクルはそこにはない。フランスではパリSGが、イタリアではユベントスが、そしてプレミアではチェルシー(とマンチェスター・シティ)が抜けつつある。覇権の行方が最後まで分からないドキドキとワクワクが、今シーズンのリーガにはあるのだ。

【記者】
Pablo POLO|MARCA
パブロ・ポロ/マルカ
スペイン最大のスポーツ紙『マルカ』でレアル・マドリー番を務める敏腕記者。フランス語を操り、フランスやアフリカ系の選手とも親密な関係を築いている。アトレティコ番の経験もあり、首都の2大クラブに明るい。

【翻訳】
豊福晋
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