【シャペコエンセ連載・復興への軌跡】第2回「17年シーズンの超過密日程」

2017年08月05日 沢田啓明

8月7日にジョアン・ガンペール杯でバルセロナと対戦。

8月7日はバルサとジョアン・ガンペール杯を戦うシャペコエンセ。その8日後には浦和戦が控えている。 (C)Getty Images

 2016年11月28日に起きた事件を、覚えている方は多いはずだ。ブラジルの1部に所属するクラブ、シャペコエンセの一行を乗せた飛行機が墜落し、多くの尊い命が犠牲となったあの大事件だ。


 あれから、およそ9か月が経った。クラブ存続の危機に直面したシャペコエンセはしかし、着実に復興へと進んでいる。そして8月15日には、コパ・スダメリカーナ王者として臨むスルガ銀行チャンピオンシップで、浦和レッズと対戦する予定だ。
 
 シャペコエンセの来日を記念してお届けする、現地在住のサッカージャーナリスト、沢田啓明氏が飛行機事故からの同クラブの歩みを追ったドキュメンタリー連載の第2回は、復興に向けて歩み出したチームが直面する日程の過密さについてである。
 
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 2016年シーズンに果たした躍進の"果実"として、17年シーズンのシャペコエンセには超過密日程が用意された。すでに終わったしまったコンペティションも含めると、以下の7つだ。
 
①サンタカタリーナ州選手権:州内10クラブが参加。第1ステージ(全9節)が1月29日から3月5日まで、第2ステージ(全9節)が3月22日から4月30日まで。各ステージの勝者が、5月上旬にホーム&アウェーで優勝決定戦に臨む。
 
②プリメイラ・リーガ:ブラジル南部を中心とする6州の強豪16クラブが参加。4チームずつ4グループに分かれて1月24日から3月1日までに3試合を戦い、以後、各グループの上位2チームがホーム&アウェーのノックアウト方式で対戦する。
 
③コパ・リベルタドーレス:欧州のチャンピオンズ・リーグに相当する南米王者を決する大会。32チームが4チームずつ8グループに分かれ、3月7日から5月23日まで総当たりのホーム&アウェーでグループステージを戦う。各グループの上位2チームが以後、ホーム&アウェーのノックアウト方式で対戦。
 
④レコパ・スダメリカーナ:コパ・スダメリカーナ王者として臨むスーパーカップ。コパ・リベルタドーレス王者のアトレティコ・ナシオナル(コロンビア)と、ホーム&アウェーで4月に対戦。
 
⑤ブラジル全国リーグ:国内リーグのファーストディビジョン。20チームが参加し、5月6日から12月3日までホーム&アウェーの総当たりで38節をこなす。
 
⑥コパ・ド・ブラジル:国内カップ戦で、91チームが参加して2月に開幕。ベスト16にシードされているシャペコエンセの試合は5月から。
 
⑦スルガ銀行カップ:8月15日に昨年のルヴァンカップ王者である浦和レッズと埼玉スタジアムで対戦する。
 
 この他、バルセロナが主催するジョアン・ガンペール杯に招待されている。開催日は8月7日で、会場はカンプ・ノウ。当然ながら、バルセロナが相手だ。
 
 要するに、1月末から少なくとも4月末まで州選手権を戦い、それと並行してプリメイラ・リーガに出場。3月7日から少なくとも5月23日までコパ・リベルタドーレスに臨み、5月6日から12月3日までは全国リーグを戦う。

 その間、コパ・ド・ブラジルに参戦し、レコパ・スダメリカーナ、スルガ銀行カップに参加。これにジョアン・ガンペール杯を含めると、最少で72試合、最多で94試合をこなさなければならない……。

次ページクラブとチームを同時に再建するという困難なタスク。

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