【現地発】オランダリーグ開幕間近! 海外初挑戦中の堂安律が語る手応え「一番の収穫は…」

2017年08月03日 中田徹

スペインの強豪クラブとの試合でも好機を演出。

オランダで順調に調整を進めている堂安。このままフローニンヘンで定位置を掴み、アピールし続ければ、日本代表でも活躍が期待できる。 (C) SOCCER DIGEST

 フローニンヘンにとってプレシーズン最後の試合となった現地時間8月2日のレアル・ソシエダ戦で、堂安律は先発メンバーとしてピッチに立った。
 
 相手は昨シーズンのリーガ・エスパニョーラ6位のチームとあって、フローニンヘンは自分たちのサッカーができず、攻撃では長身ストライカーのラルス・フェルトワイクへのロングボールに頼るしかなかった。
 
 4-4-2の左サイドハーフを任された堂安だが、自陣に戻って守備に追われる時間が長く、45分間でお役御免となった。チームの結果も前後半に1点ずつ失って0-2と完敗。地元メディアは、「フローニンヘンが勝てる見込みのなかった試合」と試合後に書き綴った。
 
 それでも堂安は、10日前に行なわれたグラナダ戦と比べ、「個人的には今日の試合の方が良かったし、出来の良い前半だったかなと思います」と、R・ソシエダとの一戦で掴んだ手応えを口にした。
 
 浪速の俊英が手応えを語った理由はいくつかある。まず一つ目は、チームが守勢に回っても、数少ないチャンスのなかでビッグプレーを創出できていたことだろう。
 
 15分、右サイドに広く開いた堂安は、一度、イェスパー・ドルストにボールを預けてペナルティーエリア内に走り込む。すると、そこにしっかりとスルーパスが供給され、受けた日本代表MFはさらにDFを"裏街道"のトリックでかわし、相手GKと1対1になってシュートを放った。
 
 この絶好機は惜しくも防がれてしまったが、試合後に堂安が「あれが僕の特徴です」と振り返った通り、足技で自らを表現し切った理想的なプレーだった。
 
 二つ目は守備での貢献だ。R・ソシエダに攻められる時間が少なくなかったこの試合で、堂安は相手アタッカーの縦に抜こうとするドリブルや、インサイドにカットインを試みようとするドリブルをしっかり止め、さらにスルーパスもきっちりと読んで、インターセプトしていた。
 
 聞けば、フローニンヘンのタフな練習の中で、球際の強さが磨かれていっているという。
 
「最近、相手のボールを取り切れるようになってきましたね。今日は球際のところなんかも強く行けていたのかなと思います」
 
 そして、三つ目は何より大事なのだが、チームメイトが堂安にパスを出してくれるようになった点だ。当人も、次のように収穫を語っている。
 
「試合を重ねるごとに、パスが来る回数は増えてきてますね。やっぱり、パスが来ないと自分が活きない。今日の試合を見てもらっても分かるように、前の試合より全然、ボールが来るようになってるし、ボールに触る回数も増えてる。そこが一番の収穫ですかね」
 
 元々、堂安は、「アジア人の自分がポンっとオランダのチームに入っても、簡単には味方がパスを出してはくれないだろう」と覚悟していた。そうした心づもりをしつつ、何とかピッチ内外を問わず、チームに馴染もうと努力し、パスを出してもらえる回数を増やしていったのだ。

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