【総体】東京五輪の秘密兵器に!? 万能アタッカー・宮澤ひなたのサッカーセンスに感動した

2017年08月01日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

最終学年を迎え、パワー&スケールがぐんとアップ!

ハキハキと質問に答えた宮澤。確固たるビジョンと価値観を持つアタッカーは、プレーと同様に、どこか大人びている。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

 8月1日、全国高校総体(インターハイ)のサッカー競技は、男子が休養日で、女子の2回戦のみが開催された。サッカーダイジェストの取材班が向かった先は、七ヶ浜サッカースタジアム。海水浴場に隣接していて、吹き込んでくる浜風が心地よい。ただ曇り空のこの日は、涼しいを通り越して、少し肌寒く感じるほどだった。
 
 そんななか、第1試合の常盤木学園と星槎国際湘南の試合がはじまった。

【インターハイ女子PHOTO】星槎国際、日ノ本学園らが準決勝に進出!
 
 観衆はおよそ800人程度と、インターハイの女子会場としてはまずまずの入りだ。地元・宮城県の代表である常盤木が登場するのだから、当然と言えば当然か。普段は高校女子サッカーを見ないファンや関係者も少なくないように見えたが、キックオフ直後から、スタンドが何度かどよめいた。「なんだあの子は!?」「あの9番やばくない?」と、彼らの視線を釘付けにしたのが、星槎のU-19日本女子代表アタッカー、宮澤ひなただ。
 
 ファーストタッチの質がもう図抜けていて、ボールを持っただけで、なにかしでかすんじゃないかとワクワクさせられる。最終学年を迎え、元来のスピードにパワーとアジリティーを加味。右サイドで圧倒的な存在感を示していた。
 
 いきなり前半8分、先制点を挙げる。かわいい後輩でU-16日本女子代表の加藤ももがDFふたりを鮮やかに振り切って左サイドを打破し、中央へパス。走り込んでいた宮澤が難なく決めた。さらに4分後にも星槎は、見事なパスワークから加藤がゴールを挙げて2-0。楽勝ペースかと思われた。だが、名門・常盤木がそう簡単に白旗を上げるはずがない。
 
 キャプテンの宮澤は、その後の試合運びに甘さがあったと自戒する。
 
「難しい試合になるとは思ってましたが、2点決めてから自分たちのパスミスが少しずつ目立ってきて、相手に付け入る隙を与えてしまった。パスを繋ぎながら、穴を探して攻撃するのが星槎のスタイル。自分らでアイデアを出し合っていかなければ実現しないのに、途中からそれができていなかった。常盤木の執念を感じたし、攻撃も守備も連動性はまだまだです」
 
 後半になると、常盤木の鋭い出足と力強いカウンターが冴え渡り、劣勢に立たされる。後半4分、エースFWの沖野くれあにミドルを叩き込まれると、同27分にはMF崎山未来の直接FKを決まって同点。なんとかPK戦で激戦をモノにしたが、反省が残る試合内容だった。
 
 星槎にとっては全国大会で初のベスト4進出。やはり"エイトの壁"は高かったということだ。
 
「柄澤(俊介)監督にも、『ベスト4への壁は甘くないぞ』と言われていて、その通りだなと思いました。ただPK戦に入る前は、開き直ったじゃないですけど、笑って楽しもうって雰囲気になれた。だからリラックスして臨めましたね。これがウチのいいところです」

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