2年で38分間の出場…ロシツキがそれでも現役を続ける理由は?

2017年07月21日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

“心のクラブ”で復活を誓う。

度重なる故障からの復活を期すロシツキ。EURO2016以降、チェコ代表からも遠ざかっている。(C)Getty Images

 悪夢のような2年間を経て、トマシュ・ロシツキが帰ってきた。
 
 スパルタ・プラハに所属するチェコ代表の英雄は現地時間7月14日、ブラックバーン(イングランド3部)とのプレシーズンマッチに71分から出場。307日ぶりにピッチに立つと、中盤の底まで下りてビルドアップの起点となり、時折鋭いスルーパスを繰り出すなど何度か"らしい"プレーを披露した。
 
 長く、そして険しい道のりだった。アーセナルでの最後の1年となった2015-16シーズンは、右膝をはじめ度重なる故障に苦しみ、FAカップに1試合(それも19分間)出場したのみ。不完全燃焼のまま、10シーズンを過ごしたノースロンドンを去った。
 
 EURO2016には何とか間に合ったものの、コンディションが万全でないのは明らかだった。実際、クロアチアとのグループステージ第2戦の終盤に太腿を痛めて無念の離脱。チェコが早々に敗退する一因ともなり、悔やんでも悔やみきれない大会となってしまった。
 
 心身ともに傷ついたロシツキに声を掛けたのが、かつて8歳で入団し、ドルトムントに移籍するまでの約13年を過ごしたスパルタ・プラハだ。15年半ぶりに復帰した"心のクラブ"での復活を、サポーター、そして何より本人が心待ちにしていたが、待ち受けていたのはまたしても怪我との闘いだった。
 
 昨年9月、ムラダ・ボレスラフとのリーグ開幕戦で、いきなりハムストリングを痛めて開始早々に途中交代。出場時間はまたしても「19分」だった。
 
 さらに、アキレス腱も痛めてその後は1試合も出場できない状態が続いていたロシツキは、今年の3月に大きな決断をする。来シーズン以降を見据えて、アキレス腱の手術に踏み切ったのだ。
 
 今年10月で37歳となるロシツキが、現役にこだわるには理由があった。「ひどい怪我を負ったにもかかわらず、なぜ諦めなかったのか?」という現地メディアの問いに対して、次のように答えている。
 
「僕は負けず嫌いなんだ。スパルタでチャンピオンズ・リーグ(CL)に出る。そのために戻ってきたのに、昨シーズンはCL出場権(2位以内)を逃してしまった。今シーズンはそこを目指して戦う。それが大きなモチベーションになっている」

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