【東京V】弁護士資格を持つ異色の新助っ人は、ヴェルディの救世主となれるのか

2017年07月11日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

スペインの下部クラブで実績を積んだ叩き上げ。

「いまのヴェルディにいないタイプのアタッカー」との声も。新助っ人カルロスにかかる期待は大きい。(C)TOKYO VERDY

 フランチェスコ・トッティの獲得報道に揺れる東京ヴェルディ。もしローマの英雄が加入するとなれば、ヴィッセル神戸にやってきたルーカス・ポドルスキを超える衝撃となるだろう。ピッチ内外でJリーグに、特大の効果をもたらすはずだ。
 
 ただ、現在のヴェルディにしてみれば、あくまでプレミアムなオプションに過ぎない。
 
 チームはシーズン序盤の快進撃を経て、この2か月は停滞を余儀なくされている。22節終了時点の順位は5位だが、首位・湘南ベルマーレとは9ポイント差、2位・アビスパ福岡とは8ポイント差と、自動昇格に向けて待ったなしの状況だ。とりわけ攻撃のパンチ不足が顕著で、信頼のおけるフィニッシャーも不在のままである。
 
 トッティ招聘への動きが報じられた6月下旬、ヴェルディは新助っ人の獲得を発表した。スペイン出身のFW、カルロス・マルティネス。1986年6月27日生まれ、183センチ・74キロのストライカーだ。
 
 初めてプロ契約を交わしたのは23歳の時。弁護士の資格を持つインテリで、それまでは学業とフットボールの両立に努めていたという。リーガ・エスパニョーラの3部、あるいは4部のクラブでプレーしてきた叩き上げで、ここ2シーズンは3部のビジャレアルBに所属。前線の得点源として活躍し、2015-16シーズンに15得点、16-17シーズンには20得点を挙げている。
 
 キャリアのなかで1部や2部クラブへステップアップするチャンスは何度かあったという。だがカルロスは「自分を中心に据えてくれるチームでプレーしたい」と考え、下部リーグで実績を積み上げてきた。
 
 ドイツの移籍専門サイトによれば、今回生じた移籍金はゼロ。だがヴェルディのクラブ関係者によると、それは事実ではないようだ。ビジャレアルBとの契約はもう1年残っていた。3部のグループ3で得点ランク2位に食い込んだだけに、リーガ2部のクラブなどから獲得の打診があったようだが、最後はカルロス自身の意思で日本行きを決めたという。同胞のミゲル・アンヘル・ロティーナ監督による直々のラブコールにも胸を打たれ、遠い日本での挑戦を決意したのだ。

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