丹羽大輝は低迷する広島を救えるか? ヨンソン新監督の判断やいかに

2017年07月11日 中野和也

またも失点した横浜戦に丹羽大輝がいたら。そう考えてみた。

指示を飛ばして守備を引き締められる丹羽の特長は、広島でも生きるはずだ。写真:中野香代(紫熊倶楽部)

 森保一監督の退任を受けた横浜との戦いでも、失点してしまった。
 
 今季、完封できた試合はわずか2試合。昨年、18試合終了時点で7試合もあったクリーンシートが、今年は激減している。今年の1失点試合は、これで8試合目。0-1での敗戦がすべて0-0であれば5ポイントが上積みされ、札幌と並び、得失点差で上回って残留圏にしがみつけることになる。無失点の試合が増えれば増えるほど攻撃にも余裕が生まれ、0-0が1-0に、1-1が2-1になっていくのも、サッカーの流れだ。
 
 広島は得点力が不足。それが今季の低迷の要因であることは否定しない。だが、例えば2013年の優勝の時、広島の得点力は1.50/平均でリーグ8位という水準だった。それでも優勝できたのは、0.85失点/平均というリーグナンバー1の守備が存在したからだ。「良い守りから良い攻撃」という森保一前監督の指摘は、正しい。そして良い守りとは、90分間しっかりと集中して得点を許さないという結果を積み重ねてこそ。
 
 今季の失点を振り返れば、集中を欠いたスキをつかれたものが多く、組織が大きく崩されたという印象には乏しい。G大阪を相手に今季初勝利をつかんだ直後の横浜戦、開始4分でセットプレーのマークを外しての失点は、その典型だ。有効な声がその時、飛び交っていたのか。なんとなく、フワッと入っていたのではなかったか。最も危険な中澤佑二をフリーにしてしまった事実が、その時の状況を容易に示してしまう。
 
 7月8日に行われた横浜戦での失点場面は、齋藤学という最も危険なタレントをフリーにしてしまったことから。広島の攻撃時、横浜でもっとも危険なタレントが中途半端な位置で攻め残りしている状況下で、彼をどう管理するのか。そういう意味での守備の組織化を90分間通してできなかったことが、失点の要因である。
 
 丹羽大輝がいたら。そう考えてみた。

 彼は強い言葉を発して選手たちの目を覚ますことができる。ヒートアップしたゲームの中でも冷静にチームの状況を把握し、コーチングで選手を動かせる。こういう仕事は中盤の森﨑和幸もできるが、最終ラインにいる選手のほうがより広範囲で状況を確認できる。千葉和彦もできるが、現在の戦績に責任を強く感じている彼は、自分のプレーで精一杯のように見える。丹羽がいれば、横浜戦でも鋭いコーチングで危機管理を組織化できたかもしれない。

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