【名古屋】空白の3年を経て――“天才テクニシャン”青木亮太が迎えた目覚めの時

2017年06月26日 本田健介(サッカーダイジェスト)

長崎戦ではJ初ゴールをマーク。

今季は開幕戦を皮切りに出場機会を増やす青木。目に見える結果も残せるようになった。(C)SOCCER DIGEST

[J2リーグ20節]名古屋2-0長崎/6月25日/パロ瑞穂
 
 名古屋で興味深いタレントが目覚めの時を迎えようとしている。その名は青木亮太。繊細なボールタッチ、変幻自在のドリブルと、天才的なテクニックを有するアタッカーは、この3年苦しい戦いを強いられてきた。だが、6月21日の天皇杯・SRC広島戦に続き、長崎戦では公式戦2戦連続弾をマーク。しかも嬉しいJ初ゴールだ。
 
 青木は2014年に流経大柏高から名古屋に入団すると、同年3月のナビスコカップ(現ルヴァンカップ)でデビューを果たし、リーグ戦では4試合に出場。しかし、翌年の3月に悲劇に見舞われた。練習中に左膝の前十字靭帯断裂、外側半月板断裂、膝蓋骨脱臼という重傷を負い、長いリハビリ生活を強いられたのだ。
 
 2015年は一度もピッチに立てず、昨季は10月末の神戸戦でようやく復帰を果たすも、最終節の湘南戦はベンチでチームが降格する瞬間を見ているしかなかった。
 
 ただ、今季は風間八宏監督の就任が転機となった。指揮官は佐藤寿人、玉田圭司らベテランをチームの軸に据える一方、積極的に若手を登用。青木も開幕戦からピッチに立つチャンスを手にすると、その後は本職の中盤ではなく左SBなどでも貪欲にプレーを続けた。
 
「ポジションは関係ない」――、サッカーをできる喜びを嚙みしめていた男は、6月21日の天皇杯・SRC広島戦で後半頭から登場すると、慣れ親しんだ左サイドハーフで、2ゴール・2アシストと圧巻のパフォーマンスを見せたのだ。
 
 そして先発した長崎戦では「照明で見えなかった」と話すが、和泉竜司の右からのクロスに上手くヘッドで合わせ、貴重な追加点をチームにもたらした。試合後にはサポーターから盛大な祝福を受けた。
 
「これまでなかなかヒーローになれなかった。でも今回初めてなれて、改めてファン、サポーターのために頑張らないといけないと思いました」
 
 プロ4年目、21歳となったテクニシャンは空白の3年を経て、確かな自信を手にし始めている。
 
「1年で昇格するのが目標。ベテランの人たちばかりに頼っていられないし、僕たち若手がチームを引っ張っていかなくてはいけない」
 
 次節は昨季、昇格争いのライバル・湘南との対戦だ。チームの主力として大事な一戦で勝利をもぎ取る。
 
取材・文:本田健介(サッカーダイジェスト編集部)
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