【日本代表|6月シリーズ総評】小さくない失望感が…。メンバー選考に問題はなかったのか?

2017年06月15日 本田健介(サッカーダイジェスト)

悲観する状況ではないが…。

イラク戦後には、怪我人が相次ぎ、ゲームプランが狂った点を嘆いたハリルホジッチ監督。欲しかった勝点3は手にできなかった。写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

 2試合続けて1-1のドロー。キリンチャレンジカップのシリア戦(6月7日)、ワールドカップ・アジア最終予選のイラク戦(6月13日)は、ともに勝利を掴むことができなかった。
 
 テストマッチであったシリア戦は「ここで課題が出たことを前向きに捉えたい」(吉田)と、選手たちは口々にポジティブな発言を残したが、イラク戦ではその反省を勝点3につなげることはできなかった。
 
 もっとも「悔しいが、中途半端に次の試合は引き分けでOKというよりはクリアになって良かった」(本田圭佑)、「ネガティブに捉える必要はない。次は必ず勝って(ワールドカップに)行けると思います」(原口元気)と、決して悲観する状況ではない。
 
 イラク戦を前に、オーストラリア、サウジアラビアと勝点16で並び、得失点差で首位に立っていた日本は、イラク戦のドローで勝点17となり、ロシア・ワールドカップ出場に"王手"をかけた。次戦のオーストラリア戦(8月31日・埼玉)に勝てば、予選突破の条件であるグループBでの2位以内が確定する。もし、敗れれば、最終戦はアウェーでのサウジアラビア戦(9月5日)となるため苦しくなるが、望みが潰えるわけではない(オーストラリアは日本戦以外にタイ戦、サウジアラビアはUAE戦を残す)。
 
 ただ、それでも小さくない失望感が消えないのは、イラク戦はやりようによっては、勝てたゲームだったと言えるからだろう。
 
 ヴァイッド・ハリルホジッチ監督はイラク戦後の会見で、「まったく満足していない。この試合に勝つためにここに来た。交代も前もってプログラムしたが、怪我のせいでできなかった。最後の15分は、まったく違う戦略、速いFWを入れようと思っていた」と試合を振り返る。
 
 後半始めに井出口陽介が相手との接触で頭部を強打し、プレー続行が不可能となり、交代枠をすでに2枚使っていた終盤には、酒井宏樹、久保裕也が同時に足を痛める緊急事態が起きた。バタバタと対応が後手を踏むなか、イラクにゴールを許したのだ。
 
 アクシデントと言ってしまえば、それまでだが、イラク戦を戦うにあたっては、厳しい台所事情を強いられていた。指揮官は6月シリーズのメンバー選考を含め、見通しが甘かったと言わざるを得ないのではないか。

次ページ中盤は壊滅的な状況に。

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