【総体】“谷間の世代”が県決勝で奇跡の逆転劇!! 広島観音が11年ぶりの王座奪取を狙う

2017年06月12日 森田将義

電光石火の2ゴールで劇的に出場権を掴み取る。

自身初の全国行きに嬉し涙を流す守護神の井西。全力を出し切って掴んだ栄冠だ。写真:森田将義

「今年も、またダメなのかな……」
 
 広島観音の内田仁監督は後半24分に先制された際、こう思いを巡らせたという。
 
 就任4年目の指揮官が県予選の決勝を戦うのは、インターハイと選手権を合わせて今回が4回目。すべて広島皆実の後塵を拝した。今回は、いつもとは違う瀬戸内が相手で苦手意識はない。GK井西海斗(3年)やDF手嶋一哉(3年)の粘り強い守りのおかげで、前半は瀬戸内の迫力ある攻撃を無失点で抑えたが、1点を失なった前後の時間帯は相手の勢いに呑まれてしまい、指揮官の脳裏に敗北がよぎったのだ。
 
 残り時間わずかのタイミングで、ベンチから飛んだ指示は、「絶対に1点取れるぞ!」。後半の間に逆転勝ちまで狙うのではなく、まずは追いつき、延長戦まで持ち込められれば御の字と考えていた。
 
 ただ、ピッチにいた選手は誰ひとり諦めていない。「相手が早い時間で逃げ切ろうとボールを回し始めたので、そこで奪えればチャンスが来ると思っていた」。そう振り返るMF山口直也(3年)を中心に、気力を振り絞り、相手への圧力を高めていく。
 
 すると後半39分、広島観音は試合を振り出しに戻すのだ。MF安野蓮(2年)が前線にパスを展開。相手DFに当たって、ゴール前にこぼれたボールを途中出場のFW横下友則(3年)が押し込んだ。
 
 このゴールで勢いに乗り、アディショナルタイムに山口が左サイドを仕掛けてCKを獲得する。キッカーは怪我から復帰したばかりのDF岡本大河(3年)。ゴール前に入れたクロスが、瀬戸内GKのファンブルを誘うと、横下が再び蹴り込んで逆転に成功。直後にタイムアップの笛が鳴ると、ベンチのスタッフ、選手が喜びを爆発させ、歓喜の輪が広がった。
 

次ページ「いまのままじゃ、絶対に日本一にはなれない」。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事