【総体】水面下で争奪戦!? プロスカウトが熱視線を送る神村学園の絶対エース

2017年05月29日 森田将義

ついにこじ開けた全国大会への重い扉。

中学時代から注目されてきた高橋。初の全国の檜舞台でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか。写真:安藤隆

 神村学園のMF高橋大悟(3年)は、「観ていて楽しい選手」という表現がピッタリの逸材だ。
 
U-14日本選抜に選ばれるなど附属中学時代から注目を集めてきた。最大の魅力は、センスが存分に詰まった左足だ。高校デビューとなった2年前のプリンスリーグ九州・開幕戦ではいきなり4点を奪い、非凡な得点力を披露。滑らかなドリブル突破も武器で、相手DFをいとも簡単に手玉に取る。
 
その能力の高さを証明するように、今年に入ってからJクラブのスカウト陣がこぞって鹿児島に足を運んでおり、すでにいくつかのクラブはラブコールを送っている。
 
実力的に、世代トップクラスなのは間違いない。だが、高橋には決定的に欠けている部分があった。全国大会での経験と活躍だ。
 
1年目のインターハイは予選決勝で延長戦の末、鹿児島実に敗北。冬の選手権予選は鹿児島城西に0-1で惜敗した。続く2年目も全国の舞台は遠く、インターハイは予選4回戦で敗れ、選手権予選は再び鹿児島城西の後塵を拝した。
 
 とくに「一番の親友と言ってもいいくらい、仲が良い。小学校4年生の時に、(生まれ育った)屋久島以外で初めてできた友だちがアイツだった」という鹿児島城西DF、生駒仁(3年)との因縁は深い。高校で3度の全国大会出場を果たし、世代別代表まで登り詰めた生駒に対し、全国未経験の高橋には日の丸を背負う機会も訪れなかった。
 
ただ、全国に立てなかった悔しさが彼を一回り大きくしたのも事実だろう。成長速度を一気に高めたのは、昨年度の選手権予選だ。「先輩たちを勝たせることができず、悔しかった。もう周りに悔しい想いをさせたくないから、どの試合でも決定づけられる選手になりたい」。そう誓った彼は、自己改革に励んだという。

次ページ改善されたのは「パスの質」と「右足」。

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