名門ヴェルディを強力にサポートする「ISPS」の狙いとは!?

2017年05月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

始まりはブラインドゴルフ。南アの強豪クラブの支援も。

マスコットのヴェルディくん(左)と記念撮影する半田会長。「運命を感じました」とスポンサードを決断した。(C)TOKYO VERDY

 ひとつの転換期を迎えた東京ヴェルディにあって、今季から新たにメインコーポレートパートナーとなったISPSの存在は見落とせない。
 
 団体を率いるのは、カリスマティックな言動が際立つ半田晴久会長。はたして、いかなる価値観とビジョンを携えて、サッカー界に足を踏み入れたのか。そして、ヴェルディのどこに魅力を感じたのか。
 
 緑の名門と手を握り、復権への道を突き歩む"強力助っ人"。その熱き想いに迫る。
 
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 シーズン開幕から快進撃を続け、9年ぶりのJ1昇格を果たすべく、上々のスタートを切った東京ヴェルディ。若手とベテランが高次元に噛み合い、新指揮官ミゲル・アンヘル・ロティーナ監督とチームの相性もすこぶるいい。昨季とは明らかに、空気感が違う。
 
 大きな変化があったのは、ピッチ内だけではない。今季からチームの進化を下支えする強力なパートナーを得たのだ。クラブ創設時から受け継いできた伝統のグリーンキットの胸元には、目新しい真紅の文字が刻まれている。
 
 ISPS HANDA
 
 ん? 見慣れない英文字に首を傾げたファンは少なくないだろう。
 
 2017年シーズンからメインコーポレートパートナーとなったISPS(国際スポーツ振興協会)だ。
 
 会長の半田晴久氏が2006年10月に創設。氏がオーストラリアの視覚障がい者ロン・アンダーソン氏とラウンドした折、ブラインドゴルフに触れたのがきっかけで、スポーツ振興を通して社会福祉活動、および国際協力活動を行なう団体として、国内外の多くのスポーツを支援してきた。年間65大会以上をスポンサードするゴルフをはじめ、ボウリングやアーチェリー、ボートなど、協賛する競技はじつにさまざまだ。
 
 そんなISPSは近年、サッカーとの関わりも深めてきた。
 
 昨年、南アフリカ・プレミアリーグのムプラマンガ・ブラックエイシス(現FCケープタウン)とメインスポンサー契約を締結。そこで、教育や福祉におけるサッカーの可能性を実感したという。孤独から子どもを救い、さらに犯罪やドラッグに走る道から救い、自立更生させられる力が、サッカーにはあると感じている。
 
 半田会長がその想いを明かす。
 
「サッカーは無限の可能性を持っています。どんなに貧しい国でも貧しい子どもでも、ボール1個でサッカーを楽しみ、熱狂できる。例えばチームに入ることによって、教育がない子どもでもルールを守り、チームワークを作る。そしてお互いを理解し合い、高い目標を持って自己を錬磨していく。最高の教育です」
 
 さらに今年からは、ニュージーランドフットボール協会のメインパートナーを務め、同国最古のカップトーナメント「チャタムカップ」のメインスポンサーとなった。これについて半田会長は「ニュージーランドはラグビーが有名ですが、サッカーも同じレベルに引き上げたいですね。ラグビーより底辺の人びとまで楽しめるので、スポーツの力を広く社会に行き渡らせ、人びとをより良く感化できると信じます」と語る。
 
 そして時を同じくして、ヴェルディとのメインコーポレートパートナーの話がまとまった。半田会長はその経緯と意義について、こう説明してくれた。
 
「運命を感じました。数年前からスポンサードしてほしいというお話をいただいてたが、メインコーポレートパートナーとなると桁が違ってきます。同じやるなら徹底的にやらないと」

次ページ「大砲は目標より高いところに撃って初めて的に当たる」。

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