【東京V】分かっていたのに「闘莉王&オリス」にしてやられた

2017年05月22日 川原崇(サッカーダイジェストWeb編集部)

「位置関係が縦になったり横になったりする」。

この痛恨の黒星を経て、若きヴェルディにどんな変化が生まれるのか。要注目だ。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

[J2リーグ15節]東京V 1-2 京都/5月21日/味スタ
 
 手痛い黒星を喫した。

 前半と後半でチームが様変わりしてしまう。シーズン開幕直後の数試合で覗かせていた悪癖が、まるで再発したかのようだ。
 
 4位・東京ヴェルディが16位・京都サンガを味の素スタジアムに迎えた一戦。守備組織の構築からゲームプランを練るホームチームにとって、相手の強力2トップをいかに封じ込むかが、最重要テーマだった。FWにコンバートされている185センチの田中マルクス闘莉王と、ベルギー出身で192センチのケヴィン・オリスが形成するダブルハイタワーだ。
 
 スカウティングを担うコーチのイバン・パランコは、「位置関係が縦になったり横になったり、ターゲットを絞らせないコンビ。右のサイドバック(石櫃洋祐)のアーリークロスを上げさせないように警戒しつつ、(2トップに)競り負けてもセカンドボールは確実に拾う。そんな守備練習を反復した」と明かしてくれた。
 
 前半、東京Vはイメージ通りに彼らを抑えた。
 
 3バックの両脇を固める井林章、平智広が臆せずエアバトルを挑み、基準点のオリスの自由を奪う。やや下がり目に位置していた闘莉王の動きはボランチの内田達也がケアし、縦志向の強い京都のチームアタックをほぼ無力化した。
 
 ボール支配で圧倒するなか、40分に先制点をもぎ取る。平のロングフィードを中央で受けたドウグラス・ヴィエイラが難なくゴールに蹴り込んだのだ。願ってもない展開であり、東京Vにとっては勝利の定石パターンだ。
 
 ハーフタイム、内田はこう考えていたという。
 
「後半の頭から、京都ががっつり来るのは間違いない。みんなが分かってた。そこで前ががかりになってくれれば、こっちのカウンターがハマる。早いうちに2点目を取って楽に勝てると、僕なんかはイメージしてたんですが……」
 
 敵のラッシュに、ずるずるとラインの後退を余儀なくされる。余裕がなくなった3バックは落ち着いたビルドアップができず、前線への放り込みを繰り返すばかりで、各ライン間にギャップが生まれた。やがて、前半から目立っていた不用意なファウルでみずからを窮地に追い込むのだ。

次ページ順風満帆だった航海に、小さくない波風が。

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