やっと今季リーグ初出場。浦和レッズの至宝、矢島慎也が短時間で高難度技を連発

2017年05月20日 塚越 始(サッカーダイジェスト)

ペトロヴィッチ監督がこれまでの常套手段を変える。

岡山からレンタル復帰した矢島が、ついに今季リーグ戦初出場。非凡な才能をさっそく披露した。写真:サッカーダイジェスト写真部

[J1 12節] 浦和レッズ 3-3 清水エスパルス
2017年5月20日/埼玉スタジアム
 
 ペトロヴィッチ監督が"常套手段"を変えた。一時リードを許した清水に3-3と追い付き、再逆転を狙っていた状況下だった。ボランチの柏木陽介が足を攣って立てなくなる。84分、そこで投入されたのは、ボランチの3番手として重用されてきた青木拓矢ではなく、今季ACLの2試合のみに途中からピッチに立っていた矢島慎也だった。

 
 浦和ユース出身の司令塔が岡山からのレンタル復帰後、ようやくリーグ戦初出場を果たした。交代出場のためにコーチから名前を呼ばれた時は「自分も驚いた」と言う矢島だが、「チャンスが訪れれば、できる自信はあった」とピッチに登場。サポーターから大歓声と拍手が送られたが、「集中していたので、あまり分からなかった」。
 
 ポジションは3-5-2のアンカー。興梠慎三、ズラタン、武藤雄樹、高木俊幸と居並ぶ前線の強力なタレントを操る、難しい役割を託された。
 
「サイドにボールを散らしながら、一方で失点をしてはいけないので、バランスも見ていた」
 
 そう語る背番号39にボールが集中する。攻守をつなぐ中盤のキーマンの矢島は、さっそくズラタンに約20メートルの鋭い縦パスをつないでチャンスメイク(トラップが大きくなってしまう……)。さらに逆回転をかけてボールを止めるチップキックのパスも宇賀神につないで、スタンドをどよめかせた。
 
「(ズラタンへのパスは)もう少し浮かないように出したかった。まだ公式戦に出始めたところで、一つひとつのプレーに迷いがある。そこを乗り越えていきたい」
 
 浦和ユースから加入した2012年から14年まで、ペトロヴィッチ監督の下でプレーした。1年目に公式戦14試合に臨んだあと、新戦力も加わるなかで出場機会を減らし、3年目は一度もピッチに立てなかった。
 
 そして「自分の力を試してみたい」と、岡山へのレンタル移籍を決断。新天地では長澤徹監督に守備のセオリーから「読み」まで徹底的に叩き込まれ、"闘える"不動の司令塔としてチームを支える存在にまで成長を遂げた。

【浦和 3-3 清水 PHOTO】興梠ハットも…浦和、勝ち切れず

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