【黄金世代・復刻版】1999 ワールドユース激闘録~銀色の軌跡(前編)

2017年05月08日 サッカーダイジェストWeb編集部

まさに、悪夢のようなスタート。

51分、ダイビングヘッドを決めた高原が咆哮を轟かせる。この先制点で勢いに乗りたかったが……。写真:ヤナガワゴッー!

【週刊サッカーダイジェスト 1999年5月19日号にて掲載。以下、加筆・修正】
 
 日本サッカー史上、世界大会で初めて決勝の舞台に立った。
 
 グループリーグ初戦のカメルーン戦を痛恨の逆転負けで落としたヤングジャパンは、その後いかに立て直し、栄光のファイナリストへの道を突き進んだのか。
 
 激闘の連続のなか、逞しく行進を続けたU-20日本代表。その"銀色の軌跡"を振り返る。

 【PHOTO】厳選フォトで振り返る1999ワールドユース
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[グループリーグ第1戦:日本 1-2 カメルーン]
 
得点者:日=高原(51分) カ=コモル2(72分・89分)
 
出場メンバー:GK南/DF辻本、手島、中田/MF遠藤、酒井、本山、小笠原(74分・石川)、小野/FW高原、永井(69分・播戸)
 
まさに、悪夢のようなスタート

 予防接種にまつわる日本協会との行き違い、開催地ナイジェリアの治安問題、そして相次ぐ主力の怪我と、ピッチ内外で数え切れないほどの不安とストレスを抱えていた。

 その船出となったカメルーン戦は、日本の若武者たちの比類なきポテンシャルと、依然としてはびこる問題点を如実に現わすゲームとなった。
 
 上質な個人技と高度な組織が融合した日本は、身体能力を前面に押し出すカメルーンを序盤から凌駕。12分に酒井が、15分に本山が決定機を迎え、地元ナイジェリアの観客も大いに沸き、アジアの代表チームを後押しする。
 
 だが、ゴールは決まらない。相手GKの好セーブ連発に加え、フィニッシュのまずさで0-0のまま前半を終える。
 
 後半開始からまもない51分、ついに均衡を破る。右サイドを打破した酒井のクロスを高原がダイビングヘッドでねじ込み先制。その2分後に敵FWイドリソーの強力ヘッドを、酒井がゴールライン際でクリアするなど、運も味方し、リードを保った。
 
 しかし、日本は徐々にスタミナ切れが顕著となり、それに伴う集中力の欠如が目立ち始める。
 
 すると72分、カメルーンが放り込んだロングボールに対して手島と南の連携が取れず、FWコモルに同点ヘッドを決められてしまう。さらに満身創痍の日本は自陣に釘付けとなり、89分に被弾するのだ。左サイドを完全に崩され、鋭いクロスからまたしてもコモルのヘッドを許し、まさかの逆転負けを喫した。
 
 この先の快進撃など予想だにできない、まさに悪夢のようなスタートだ。

次ページ2戦目にして迎えた大きな山場。

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