人種差別被害で“試合放棄”のムンタリ「サポーターよりも主審に怒っていた」

2017年05月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

ハーフタイムには子供にユニホームをプレゼントしたが…。

主審に試合中断を要求したムンタリだが、逆にイエローカードを頂戴する羽目に…。(C)Getty Images

 現地時間4月30日に開催されたセリエA34節、カリアリ対ペスカーラの終了間際に、元ガーナ代表MFのサリー・ムンタリが許可を得ずにピッチを立ち去った。人種差別の被害を訴えている。
 
 セリエB降格が決まっているペスカーラが1点を追いかけていた終盤、ムンタリはダニエレ・ミネッリ主審に差別チャントの被害を訴えたが聞き入れられず。第4審判に抗議を続けたが、やはり取り合ってもらえなかった。
 
 イタリア・メディアによると、カリアリの本拠地サンテーリアには不適切行為禁止の放送が流れたようだ。だが、ムンタリの怒りは収まらない。再びミネッリ主審と言い争うと、今度はイエローカードを出される。そして、憤懣やるかたなしという様子でピッチを立ち去った。
 
 10人となったペスカーラは、そのまま0-1で敗戦。セリエA最多となる今シーズンの24敗目を喫している。
 
 イタリア紙の『コッリエレ・デッラ・セーラ』や『ガゼッタ・デッロ・スポルト』によると、ムンタリは試合後、前半から被害を受けていたことを明かした。大人と一緒に子供まで差別チャントを口にしていたそうだ。そこでハーフタイム、彼らに自身のユニホームをプレゼントしたという。
 
「そういうことをしてはいけないと教えるためだ。子供たちが正しく育つように、模範を示す必要があるからだ」
 
 しかし、その想いは届かなかった。後半も別のグループが差別チャントを続け、ムンタリはサポーターを皮肉って返したという。すると、ミネッリ主審から観客と話すなと指示されたそうだ。
 
「だから逆に、主審になぜ試合を止めないのかと尋ねた。その勇気を持つべきで、レフェリーは試合のためだけじゃなく、こういうことを把握し、模範を示すべきだと伝えた」
 
 しかし、前述した通り結果は自身に対するイエローカード。試合が中断されず、その理由も説明されなかったため、ムンタリも堪忍袋の緒が切れた。
 
「ミネッリが審判じゃなければ、張り倒していただろう。僕はカリアリのサポーターに怒っていたんじゃない。彼に怒っていたんだ。ああいう時は、試合を中断する勇気を持たなければいけない。スタジアムでのこういうことを改善するにはそれしかないんだ」

次ページカリアリ副会長は否定もモンキーチャントがあったのは明らか。

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