「『見ていなかった』と、正直に言ってくれた」
右サイドで精力的な上下動を繰り返し、存在感を発揮した田中。攻守にアグレッシブなプレーと、仲間を思いやる強い気持ちで、チームを鼓舞した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)
[J2第10節]松本4-0讃岐/4月29日/松本平広域公園総合球技場
その怒声は、記者席まで届いた。
「ちゃんと見ていたんですか!」
声の主は、田中隼磨。メインスタンド側のタッチラインにいる線審に向かって、背番号3は怒りを露わにしていた。
すぐ側で、頭を押さえてピッチに倒れ込む岩間がいる。センターライン付近、走り込んできた相手とのすれ違いざまにひじ打ちを浴び、しばらく起き上がれなかった。
近くにいるのに、どうして見ていなかったのか――田中の表情は真剣そのものだった。怪我につながるかもしれないラフプレーが、どうしても許せなかった。線審だけでなく、主審にも、ひじ打ちをした相手にも、田中は強い口調で食ってかかった。
「あれは本当に……ダメなことは、ダメだから。みんな落ち着けとか言っているけど、明らかに、ひじが頭に強く当たっている。俺はそれを見ているから。それは主張しなければいけない。興奮していたわけじゃない」
また別の感情も、その胸中に渦巻く。なぜ、自分だけが強く抗議しているのか。「だから、俺ひとりだけ、ちょっと浮いているみたいな感じになって。それは違うと思う」。数で審判を圧倒したかったわけじゃない。チームとして、戦ってほしかった。
「名古屋やマリノスなら、チーム全員で抗議していたと思う。仲間がやられているんだから、それを助けるのがチームメイト。闘莉王とか、ボンバー(中澤佑二)とか、俊さん(中村俊輔)がそうやっている姿を見て、俺も一緒に抗議していたし。全員でやらないと。俺があれだけ言っているんだから、そこは感じてほしかった」
田中は自分の想いを、試合後には伝えたという。あれだけの怒りを表現するのは、田中にしては珍しいが、「自分に自信があったから」、一歩も引かなかった。
"正当な主張"は、裁く側にもちゃんと伝わっていた。
「俺も何年もサッカーをやっているし、その俺があれだけ言ってるんだから、審判も何かを感じ取ってくれたんだと思う。『見ていなかった』と、正直に言ってくれた。『隼磨さんがあれだけ言うから、何かあったと思いました』とも。それは俺も嬉しかった」
【松本 4-0 讃岐 PHOTO】松本が4発快勝!讃岐は退場者が2人と厳しい戦いに…
その怒声は、記者席まで届いた。
「ちゃんと見ていたんですか!」
声の主は、田中隼磨。メインスタンド側のタッチラインにいる線審に向かって、背番号3は怒りを露わにしていた。
すぐ側で、頭を押さえてピッチに倒れ込む岩間がいる。センターライン付近、走り込んできた相手とのすれ違いざまにひじ打ちを浴び、しばらく起き上がれなかった。
近くにいるのに、どうして見ていなかったのか――田中の表情は真剣そのものだった。怪我につながるかもしれないラフプレーが、どうしても許せなかった。線審だけでなく、主審にも、ひじ打ちをした相手にも、田中は強い口調で食ってかかった。
「あれは本当に……ダメなことは、ダメだから。みんな落ち着けとか言っているけど、明らかに、ひじが頭に強く当たっている。俺はそれを見ているから。それは主張しなければいけない。興奮していたわけじゃない」
また別の感情も、その胸中に渦巻く。なぜ、自分だけが強く抗議しているのか。「だから、俺ひとりだけ、ちょっと浮いているみたいな感じになって。それは違うと思う」。数で審判を圧倒したかったわけじゃない。チームとして、戦ってほしかった。
「名古屋やマリノスなら、チーム全員で抗議していたと思う。仲間がやられているんだから、それを助けるのがチームメイト。闘莉王とか、ボンバー(中澤佑二)とか、俊さん(中村俊輔)がそうやっている姿を見て、俺も一緒に抗議していたし。全員でやらないと。俺があれだけ言っているんだから、そこは感じてほしかった」
田中は自分の想いを、試合後には伝えたという。あれだけの怒りを表現するのは、田中にしては珍しいが、「自分に自信があったから」、一歩も引かなかった。
"正当な主張"は、裁く側にもちゃんと伝わっていた。
「俺も何年もサッカーをやっているし、その俺があれだけ言ってるんだから、審判も何かを感じ取ってくれたんだと思う。『見ていなかった』と、正直に言ってくれた。『隼磨さんがあれだけ言うから、何かあったと思いました』とも。それは俺も嬉しかった」
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