【高円宮杯】赤い彗星を追い詰めた神戸弘陵が、戦国模様のプレミアWESTを席巻する!

2017年04月10日 森田将義

開幕戦で示した確かな進化。

攻守両面でアグレッシブさを貫いた神戸弘陵。昨季を越える「6位以内」が目標に定める。写真:森田将義

 傍から見れば、単なる勝点1かもしれない。しかし、神戸弘陵がプレミアリーグWESTの開幕戦で東福岡から奪った勝点1は、チームの確かな成長が伺える大きなモノだった。
【選手権PHOTO】輝きを放った1、2年生プレーヤーたち
 
 前半の狙いは明確だった。
 
「開幕なので相手の出方を見ながら、慎重に試合に入ろうと考えていた。相手の特徴は分かっていたので、そこをしっかり対処するため、ブロックを作ってサイドを崩させないようにして、カウンターを狙っていた」
 
 谷純一監督がそう振り返ったように、目ざすのは徹底した守備からワンチャンスを掴むスタイル。この策が見事にハマり、前半は守勢に回る時間が続きながらも、速攻から東福岡と同じ2度の決定機を演出した。
 
 しかし、試合前に谷監督が「チャンスは共にあると思うので、決定力の差が勝負を分けると思う」と予想していた通り、11分にDF権勝星の左クロスから放ったDF田中滉大のヘディングがクロスバーに阻まれた神戸弘陵に対し、東福岡は21分に訪れた決定機をMF福田湧矢が冷静に決めて先制に成功し、前半を折り返した。
 
 後半の立ち上がりもペースは変わらず東福岡。62分、MF木橋朋暉に直接FKでリードを広げられたが、神戸弘陵は積極的に交代カードを切って反撃を開始。69分にFW住田翔の追撃弾で勢いに乗ると、残り25分を切ってからはテンポの速いパス回しで主導権を握った。すると74分,MF高野裕維のFKを田中が頭で合わせて同点に追いつき、さらにFW立岩玄輝を投入して勢いを加速させたが……。勝ち越し弾は奪えず、2対2でタイムアップを迎えた。
 
 昨年度の東福岡との対戦成績は2引き分け。前期の対戦は、ブロックを敷いて"守るだけの状態"で掴んだスコアレスドローだったが、後期の対戦は防戦一方ではなく、カウンターから見せ場を作っての、1対1だった。
 
 そしてこの日は、昨年の戦いに加えて、神戸弘陵らしい選手の距離間に拘った小気味良いポゼッションサッカーも披露。「本当にしたたか。前半はロングボールに徹して、後半は足下で繋ぐという狙いが見えたし、ブロックが堅かった」と敵将の森重潤也監督も称える戦いぶりだったが、谷監督は「もう一点獲りたかったのが正直なところ」と悔やんだ。

次ページ前進を続け、なるか「昨年越え」。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事