【横浜】中村俊輔との“再会”について語る中澤佑二。「あのきれいな放物線が見られないのは寂しい」

2017年04月09日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「とにかく、俊のところに行かせて、前を向かせるな、と」

今は敵として同じピッチに立つが、横浜や日本代表で長きにわたり、ともにプレーしてきた中澤と中村。ピッチ入場の前には、近況について言葉をかわしたという。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

[J1リーグ6節]横浜2-1磐田/4月8日/日産ス
 
 集まった報道陣が何を聞きたいのか――中澤佑二は十分に承知していた。中村俊輔のいる磐田との試合後、ミックスゾーンに姿を現わすと、開口一番、「なんか、いろいろ聞きたいんですよね、俊輔がなんとかとか」と先手を打ってみせる。
 
「全然、意識していないですよ。(中村は)トップ下にいたわけじゃないし、たぶん、(CBの自分と)競り合ったプレーは1回もないんじゃないかな」
 
 たしかに、明確なマッチアップはなかったが、中村の精度の高いロングパスを、中澤は何度も撥ね返して相手にチャンスを作らせない。どこに、どんなボールを蹴ってくるのか。最前線の川又堅碁に通させないよう、先を読んだポジショニングでクリアする。
 
 それでも、背番号22は謙遜する。
 
「たまたまですよ。俊は良いボールを蹴ってくるから、フリーでやらせるわけにはいかない。だから、(2ボランチの)キー坊(喜田拓也)とアマジュン(天野純)に『行けっ!』って。とにかく俊のところに行かせて、前を向かせるな、と。フリーでパスを出されると困る。彼らが一生懸命、そこにプレッシャーをかけてくれたので、だいぶ助かりました」
 
 中村とは、横浜でも日本代表でも、長きにわたり、一緒にプレーしてきた。当然だが、セットプレーでは質の高いボールに合わせる側だった。だからこそ、その"凄さ"は身に染みて知っている。

 中村の蹴る磐田のCKについて聞かれると、「本当に嫌ですね。やっぱり、良いボールが来る。誰かが走ったところに必ず飛んでくる。そういうボールを蹴れる」と答える。
 
 ポジションは違えど、同じ時代を生き、日本サッカーを牽引してきたふたりである。刺激し合い、お互いを高め合ってきた戦友とは、今は別々のチームで、それぞれの目標に向かって日々を生きている。
 
「シュート練習の、あのきれいな放物線は見られない。あ、うまいなって思いながらずっと眺めていましたよ。それが見れないのは、寂しいものがある」
 
 中村のいない横浜F・マリノス。その現実に、中澤は少なからず喪失感を覚えているようだが、だからといって、選手としてやるべきことに変わりはない。3年連続フルタイム出場の偉業を成し遂げ、現在も記録を更新中の中澤は、まだまだ突っ走るつもりでいる。

【横浜 2-1 磐田 PHOTO】横浜の新10番・齋藤の2アシストで磐田を撃破!

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