現代サッカーで「レジスタ」は絶滅種? 名手ピルロが指摘するその理由とは――

2017年03月27日 サッカーダイジェストWeb編集部

「ヴェッラッティは大好きだが……」

ピッチ上でチームを巧みに操舵し、試合を掌握するレジスタ。その重要かつ貴重な役割をピルロは難なくこなしてきた。 (C) Getty Images

 パリ・サンジェルマンに所属するイタリア代表MFのマルコ・ヴェッラッティは、自身が比較されることが少なくない同胞アンドレア・ピルロ(ニューヨーク・シティ)と役割が異なると繰り返してきた。その先人もまた、現代サッカー界にはレジスタがいないと考えているようだ。
 
 イタリア紙『コッリエレ・デッロ・スポルト』が、現地時間3月26日、ピルロのロングインタビューを掲載。そのなかで、レジェンドによる「レジスタ論」を紹介している。
 
 スピードが重視される現在のサッカーにおいて、戦況を見極めゲームをコントロールするレジスタという役割をこなすのは難しいのだろうか。ピルロは、「頭のスピード次第だ。それが速くなければいけない」と、重要なのは"考える速さ"だと明かした。
 
「ボールを受けたときには、誰に渡すか、仲間がどこにいるか、その時点で分かっていなければいけない。チームのプレーバランスを取るのだからね。チーム全体があのポジションに懸かっている。レジスタのボール回しが遅ければ、全体が遅くなるんだ。レジスタがプレーを速められれば、相手が準備を整えられない。サッカーでは足だけじゃなく、頭も走ることができるんだ」
 
 だが、まさにチームの"頭脳"と言うべきレジスタと呼べる選手は減りつつある。同世代のシャビはカタールのアル・サード所属とすでに第一線を退いており、バイエルンのシャビ・アロンソは今シーズン限りでの引退を発表。5月で38歳になるピルロは今後を担う若手レジスタについて、「正直、僕のようにプレーする選手はいない」と語っている。
 
「優秀な若手はたくさんいるけど、僕のようなレジスタではない。ヴェッラッティは大好きだが、僕のようなプレーじゃないし、インテルの(ロベルト・)ガリアルディーニも好きだけど役割が異なる」
 
 では、なぜレジスタがいなくなったのか? ピルロは、「見つけるのが難しいからだ。たまにしか生まれないのではないか」と、そもそもレジスタの絶対数が多くないと指摘する。
 
 そのうえで、子どもたちにサッカーを教える際に、現代では技術よりフィジカルや戦術が重視されているのではないかとの質問に、次のように同意している。
 
「技術的に優れた選手は減っている。技術は気にかけるべきだ。速い選手やフィジカルな選手はいるが、彼らに美しいフィードやファンタジーのあるタッチ、優雅なドリブルはできない。確かに最近は技術レベルが少し落ちた」

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