【釜本邦茂】大迫に「日本サッカー待望の選手」と賛辞。今野の輝きには「気迫に胸を打たれた」

2017年03月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

34歳の今もプレーに一層の磨きがかかるワケとは?

攻守両面で出色の活躍を見せた今野。34歳の今もなおそのプレーは輝きを増している。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 ワールドカップ・アジア最終予選の後半戦スタートを、敵地での勝利で飾った日本代表。かつての名ストライカー、釜本邦茂氏の目には後輩たちの戦いぶりはどのように映ったのか。

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 UAE戦はスコア以上に日本の強さ、良い面が際立った勝利だったと思う。最終予選のような緊張感あふれる試合においては、近年稀に見る"快勝劇"だったんじゃないかな。
 
 しかし、中東のチームはいつもあの手この手で相手を動揺させるような仕掛けを繰り出してくるよね。今回はピッチを一回り小さく作って、日本の選手に違和感を覚えさせようとしたみたいだけど、これは完全な逆効果だった。今回、日本はボールを"持たせる"側に回って、前線からの守備から素早い攻撃につなげようとしていた。だから、ピッチが狭いぶん、余計に走り回らなくても守れるし、相手の個人技に対しても味方同士の隙間を狭くしてブロックすることができた。UAEは策に溺れた感があるよ。
 
 ただ、それを抜きに考えても今回はいろいろと収穫の多い試合だった。まず初めに挙げられるのがベテランたちの活躍。とりわけ今野は、負傷した長谷部に代わって中盤に入り、持ち前の球際の強さと豊富な運動量で、攻守両面にわたって大活躍を見せた。
 
 今野の良さは、やはりプレーから気迫が伝わってくるところ。なにがなんでもボールを奪い取ってやる、という気持ちがよく出ており、見ているこちらの胸を打つものがあったよ。当然、そういうプレーはピッチ上の選手たちにも伝わるもので、多くの局面で気持ちのこもったプレーが見られた。
 
 今野はワールドカップに二度出場しているし、五輪出場の経験もある。実績もあり、場数もそれなりに踏んでいるわけだから、今回のようにポンと入ってもすぐ活躍できるのは当然のように思われるかもしれない。しかし、それが可能になるのは、やはり継続的に試合に出て、34歳となった今もなお一層プレーに磨きがかかっているからだろう。
 
 対照的な状況にあるのが、欧州組で出場機会に波がある選手たちだ。例えば今回、今野と同じインサイドハーフのポジションでまずまずのプレーを見せたのが香川。昨年の終盤あたりはなかなかチームで出番がなく、11月のサウジ戦のスタメンからも外されていたけど、あの頃に比べたら、今回は随分状態は良くなっているように見えた。その要因はブンデスリーガでここ数試合、しっかり出場機会を掴んでアシストなどの活躍ができていたからだ。だからこそ、ハリルホジッチ監督も先発起用を決断できたのだろう。もう久しく欧州で戦ってきた香川でさえ、出場機会の有無がプレーのキレに大きく関わってくるわけだね。

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