【U-20代表】小川&久保の2トップを活かす"名脇役"。針谷岳晃が秘める可能性

2017年03月09日 安藤隆人

スムーズにボールが動いた要因は、針谷の産み出す質の高い”潤滑油”によるもの。

練習試合に後半から出場した針谷は、正確なパスでチャンスを演出した。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 飄々とした表情で相手のタイミングを外し、自らのリズムをチームにアジャストさせながら、ボールを受けては、正確なパスをズバズバ通す。
 
 MF針谷岳晃はU-20日本代表においても、自らのスタイルをしっかりと組織の中に融合させ、軽やかなプレーを披露した。
 
 FC東京とのトレーニングマッチ。後半から出場した針谷は、4-4-2の左サイドハーフに入ると、常に全体を見渡しながら、パスの中継点となるポイントに走り込み、攻撃のリズムを作り出した。
 
「受けてはたいて、受けてはたいてが、僕のサイドでの役割だと思ったので、それを意識しました。(小川)航基くんに『中に入れ』と言われていたので、意識して中央でアクセントを加えるようにしました」
 
 右サイドハーフの遠藤渓太が、ドリブルで縦に仕掛けるタイプのため、針谷は小川と久保建英が組む2トップとの距離感を常に意識していた。かつ坂井大将と原輝綺の2ボランチがスムーズに上がれるように、サイドと中央でポジションを常に移動させながら、ボールが円滑に動くルートを作り出し、正確なワンタッチ、ツータッチプレーでパスを配った。
 
 前半よりも後半のほうが、スムーズにボールが動いた要因は、針谷の産み出す質の高い"潤滑油"によるものだった。
 
 針谷のリズムメークから、高い連動性を披露した日本は、小川、久保、遠藤が積極的にゴールに迫った。1−0で迎えた53分には、針谷が空けたスペースに原が走り込み、原の折り返しを小川がつないで、最後は久保が冷静にゴールに蹴り込んで、追加点を奪った。
 
 終盤には針谷が右サイドでボールを呼び込むと、ワンタッチで前に持ち出した瞬間、「裏に飛び出そうとした航基くんに相手DF3人が付いて行って、久保くんとその奥の渓太くんが空いた。彼らにマークが付く前に素早く出そうと思った」と、鋭く膝下を振り抜いて、正確なグラウンダーのパスを通した。
 
 これは久保が反応しきれなかったが、遠藤に渡り、ドリブルで仕掛けてシュートまで持ち込んだ(シュートはDFにブロックされる)。

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