【千葉】あまりに大胆な攻撃的スタイルはどう転ぶ? 白星発進も入り交じる期待と不安

2017年02月28日 竹中玲央奈

らしさを象徴した先制点前の決定機。

決勝点を挙げた千葉の町田(10番)。指揮官は狙い通りの形から生まれたゴールを喜んだ。(C) J.LEAGUE PHOTOS

 良くも悪くも"落ち着かない展開"であり、応援する側からすれば冷や汗をかかされる場面の連続だっただろう。ただ、新指揮官としてフアン・エスナイデルを迎えた新生ジェフ千葉のスタイルは、攻守においてハッキリとした色が付いていた。
 
「自分たちの形がゴールになった」とエスナイデル監督はこの日の決勝点となった町田也真人のゴール、そしてそこまでの流れを褒め称えた。中盤の底を務めるアランダが右へ大きくサイドチェンジをし、受けた北爪健吾が2列目から前線に飛び出した町田也真人へ送る。これを町田がボックス内で冷静に沈めたという形だ。
 
 能動的なプレッシングでボールを奪ってから両ワイドへ展開し、幅を広げたことで間延びした相手のスキを突く、というプレーは「狙っている形」(北爪)。大事なリーグ開幕戦で理想的な形でゴールを奪うという成功体験をリーグ初戦にできたことは、まだ実績のない新体制のチームにとって非常に大きな意味をもたらす。
 
 得点する前の14分にも、左サイドに開いた清武功暉が逆サイド深くへと展開して相手の目を寄せ、受けた北爪が放ったクロスをファーサイドで合わせる、というシーンがあった。これは町田GKの高原寿康のセーブに遭い先制点とはならなかったものの、ピッチの横幅を最大限に使ったダイナミックな攻撃で今季の"千葉らしさ"を象徴するものだった。
 
「チャンスもあったので。そこでしっかり決めきりたい」と1点のみに終わり追加点が取れずじまいだったことを船山貴之は嘆いたが、形が出せなかった訳ではまったくない。
今季から10番を背負い「得点を積み重ねていきたい」と強く意気込む町田という"取るべき人"がネットを揺らしたこともこの勝利の意味を大きくする要因のひとつでもある。
 
 ただ、その裏には課題も多くある。守備においては最終ラインをJリーグ全体を見ても類を見ないほど高く保ち、それによってGKの佐藤優也は広大な守備範囲をカバーする力、正確な判断力を伴った上でボックス外へ飛び出し、第4のCBとしてのプレーが求められた。
 
 ちばぎんカップを含めた開幕前の複数の試合でそうしたスタイルをすでに披露していたが、相手にとっては明らかにディフェンスラインの裏のスペースは「狙い所」であり、この日の町田も積極的に裏のスペースを終始突こうと狙っていた。

次ページスタイル貫徹への“覚悟”が垣間見えた開幕戦。

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