「50歳」になったロベルト・バッジョ、近況とサッカー界復帰の可能性とは?

2017年02月19日 片野道郎

誕生日当日は被災地を訪れて人々を激励した。

昨年末のイベント時の近影。50歳の誕生日に際してはメディアやSNSで大きな話題となった。(C)Getty Images

 2月18日、「ファンタジスタ」の代名詞的存在として1990年、94年、98年と三度のワールドカップに出場した、イタリア・サッカー史上に残る偉大なプレーヤー、ロベルト・バッジョが50歳の誕生日を迎えた。
 
 地元のヴィチェンツァにはじまり、フィオレンティーナ、ユベントス、ミラン、ボローニャ、インテル、ブレッシャと7つのクラブを渡り歩き、2004年5月にサン・シーロでのミラン対ブレッシャ戦を最後に37歳で引退した。
 
 その後は、生まれ故郷のカルドーニョから15キロほど離れたヴィチェンツァ郊外、アルタヴィッラ・ヴィチェンティーナの小高い丘に広がる森の中に築いた屋敷で、悠々自適の引退生活を送っている。現役時代からアルゼンチンに保有する広大な農園にも年に数回足を延ばし、趣味のハンティングを楽しんでいるようだ。
 
 ピッチを去ってからすでに10数年が経つにもかかわらず、イタリアのマスコミ各紙は揃って、バッジョの現役生活、その中で生まれた数々のドラマ、そして何よりその美しいプレーにオマージュを捧げる長い記事を掲載して、50歳の誕生日を祝福した。『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙に至っては、『IL CALCIO DI BAGGIO AI RAGGI X』(バッジョのサッカーをレントゲンで分析)という分厚いMOOK本を発売したほどだ。
 
 もちろんSNS上も2月18日は「バッジョ祭り」。ツイッターでも「#Baggio」のハッシュタグ付きで、これまで在籍したクラブやかつてのチームメイト、そして膨大な数のファンが祝福のメッセージを発信している。
 
 バッジョ自身は誕生日当日、昨夏のイタリア中部地震で壊滅的な被害を受けた山村アマトリーチェとノルチャを訪れ、被災した人々を励ました。TVの取材に対しては「現状を理解するためには、映像を見るのではなく実際に来てみなければわからない。どんなことになっているのか、近くから見て知りたかった。私の未来? シンプルな物事だけだよ。それが一番素晴らしい」とコメントしている。
 
 実際、ピッチを去ってからのバッジョは、マスコミの前にほとんど姿を現わすことなく、半ば隠遁したような暮らしを送っている。最初の数年は、引退から間もない2005年3月に生まれた次男レオナルドの育児、そしてアルタヴィッラの新しい家の整備に没頭していると伝えられたものだった。
 
 ASLに冒されて闘病生活を送っていたフィオレンティーナ時代のチームメイト、ステーファノ・ボルゴノーボ(2013年没)の支援活動など、チャリティーイベントに参加することはあったが、そうした機会においてもマスコミの取材に応じるのはごく短時間で、二言三言だけコメントするに留まっている。

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