【ミラン番記者】本田圭佑は「帰属意識」を失った? それでも出番があればきっと…

2017年02月17日 マルコ・パソット

ポーリとの間には「二軍仲間の連帯感」が生まれていた。

直近2試合を含め、セリエAでは8試合連続で出番がない本田。心中やいかに…? 写真:Alberto LINGRIA

 ヨーロッパカップ出場権(セリエA4~5位)を目指しているミランは、19節から1分け3敗とトーンダウン。しかし、いずれも敵地だったボローニャ戦(2月8日の18節順延分)のとラツィオ戦(2月13日の24節)を1勝1分けで終え、再び息を吹き返した(ミランは24節終了時点で7位)。
 
 そんな中で印象に残るシーンがあった。ボローニャ戦終了後、この日も出番がなかった本田圭佑が、勝利の立役者の一人であるアンドレア・ポーリをハグしに行ったのである。
 
 試合は前半にガブリエル・パレッタ、後半にユライ・クツカが退場して9人になったミランが、89分にマリオ・パシャリッチの奪ったゴールで奇跡的な勝利。相手より2人少ない状態でゴールを決めての勝利は、ミランはもちろんセリエAの歴史上でも初めてだった。
 
 ポーリはすでに9人となっていた62分から途中出場。79分には膝を痛打したが、すでにヴィンチェンツォ・モンテッラ監督は交代枠をすべて切っており、これ以上人数を減らすこともできないため、痛みを堪えて最後の最後まで戦い続けた。
 
 ポーリは14節のエンポリ戦で6分間プレーして以来、実に2か月半ぶりの出場機会だった。にもかかわらず魂のこもったプレーを見せ、歴史的勝利に貢献したのだ。
 
 さて、そうなると本田のポーリへのハグは、2つの意味があるのではと勘ぐりたくなる。ひとつは、チームの緊急時に膝の痛みを我慢しながら全力を出し切った彼への、素直な賞賛の気持ち。もう一つは――おそらくこちらのほうがメインではないかと思うが――ある種の「二軍仲間の連帯感」である。ベンチという同じ境遇を何度も分かち合ってきた仲間への共感だ。
 
 実際、ポーリの先発出場はそれまでわずか2試合で、総プレータイムは249分間。だからこそ、今回のボローニャ戦での活躍は、これまで冷や飯を食わされてきたベンチ仲間を代表してのリベンジの意味合いが濃かったのだ。
 
 ボロ―ニャ戦が初先発だったレオネル・バンジョーニ、アレッシオ・ロマニョーリとパレッタの影で出番が限られていたクリスティン・サパタとグスタボ・ゴメス、そして本田(ここまでのプレータイムは95分間)は、ポーリの活躍に多少は溜飲が下がる思いだったのではないだろうか。

次ページ観る者を幻滅させるシーンだった。

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