【小宮良之の日本サッカー兵法書】地獄…柴崎が挑戦するスペイン2部の「心身に堪える」厳しい環境

2017年02月09日 小宮良之

世界中から猛者が集まり、スペインの新鋭や老練と鎬を削る。

新天地でのデビューに向けて準備に余念がない柴崎。スペイン屈指のファンタジスタも舌を巻いた厳しい環境のなかで、どれだけの成長を遂げられるか。 (C) DeporPress

 テネリフェに移籍した柴崎岳の、デビューの時が迫っている。
 
 しかしそもそも、柴崎が挑むスペインの2部リーグとはどのような舞台なのだろうか?
 
 プレーレベルはとても高い。欧州の中堅リーグ、ベルギー、ギリシャ、スコットランドのトップリーグに匹敵するか、もしくはそれ以上だろう。待遇面は厳しい一方で、世界最高峰の1部リーグが手の届くところにあるだけに、夢は広がる。
 
 2部とはいえ、世界各国から猛者たちが集まり、スペインの新鋭や老練と鎬を削りながら、競い合っている。
 
 事実、テネリフェでも、GKダニ・ヘルナンデスはベネズエラ代表、ロサーノはホンジュラス代表である。
 
 また、エドゥ・オリオルはバルセロナの下部組織出身で「シャビの後継者」と目されていたし、アマト・ヌディアエは20歳のセネガル人FWで、アトレティコ・マドリー下部組織からの期限付き移籍、ラシドはアルジェリア五輪代表の攻撃的MFと、過去と現在の英才が混在する。
 
 チームのエース格であるスソはテネリフェ島出身者で、スコットランドではカップ王者になるなど、8チームを渡り歩いてきた手練れだ。
 
 ここでポジションを掴むこと自体、柴崎にとって簡単ではない。
 
 では、2部から1部昇格を目指す戦いとは、どのようなものなのだろうか?
 
「INFIERNO(地獄)」
 
 そう形容されるほどに厳しい。
 
「どのチームも差がないんだよ。だから、シーズンがとても長く感じる」
 
 ワールドサッカーダイジェストの人気連載「フットボール合評会」の語り部でもあるファン・カルロス・バレロンは、2部からの昇格戦について、こう語っている。
 
 彼はデポルティボでスペインの頂点に立ち、欧州カップでも数々の強敵を破った後、故郷のラス・パルマスに戻り、見事に1部昇格に貢献した。
 
「2部は単純に、試合数が1部より4試合多い。ただそれよりも、全ての試合でどちらが勝ってもおかしくないという状況でね。精神が消耗するんだ。考え込んでしまうと、うんざりする。一体、いつ終わるんだよ?ってね(苦笑)」

次ページ「絶対に昇格」という強迫観念が、選手に重くのしかかる…。

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