【ミラン番記者】本田圭佑の「理解に苦しむ」決断。ベンチを承知で残留を…

2017年02月03日 マルコ・パソット

移籍話はなにひとつ具体化しないまま……。

今冬のメルカートでテコでも動かなかった本田。後半戦も出場機会は限られると見られるが……。(C)Getty Images

 現地時間1月31日の23時をもって、冬のカルチョメルカートは幕を閉じた。
 
 ミランが獲得した選手を見ると、クラブから、つまり指揮官のヴィンチェンツォ・モンテッラから本田圭佑へのメッセージが、この上ないほどはっきりと浮き彫りになっている。
 
「我々に君は必要ない」
 
 そんな意図と相反するかのように、本田はミランからテコでも動かなかった。残留して何をしようとしているのか? これまでほとんどプレーさせてもらえず(今シーズンのここまでの総出場時間は95分間)、これからもその可能性は非常に低いチームに、なぜあと4か月も留まることにしたのだろう? 
 
 その答を探すためには、2つの胸の内を探ってみる必要がある。
 
 まずは本田の胸の内。冬のメルカートが開いてからも、本田には彼自身が納得できるオファーが届かなかった。だからこの数週間で、このまま契約が切れる今年6月までベンチで過ごす心の準備をしたのだろう。
 
 契約が満了したあとは、彼のピッチ外でのビジネスにも大いにプラスとなる、アメリカへ移籍する運びとだろう。すでにシアトル・サウンダーズ、LAギャラクシー、フィラデルフィア・ユニオン、ポートランド・ティンバース、バンクーバー・ホワイトキャップス、ロサンゼルスFC(2018年からMLSに参戦予定)など複数のクラブが関心を抱いているという。時が経つのを待つ――。これが本田のシーズン後半のスタンスだ。
 
 もうひとつ我々が覗いてみなければいけない胸の内は、ミランのものだ。なぜミランは6月に契約が切れるまで、つまり移籍金がゼロになるまで、本田がチームに残ることを許したのか。本田はフリートランスファーで獲得した選手とはいえ、昨今のクラブの緊縮財政を考えれば、換金して少しでも儲けを出したいと考えても不思議ではなかったはずだ。
 
 これに関しては、より本心を探ってみる必要がある。まず前提として、チーム編成を預かるアドリアーノ・ガッリアーニ副会長は、これまで一度も本田を本気で移籍市場に乗せようとしたことはない。スポンサーシップやユニホーム売上はもちろん、出場機会がなくても熱心にサッカーに取り組むプロフェッショナルだからだ。
 
 少なくとも本田自身が「退団させてくれ」と言い出さない限りは、クラブ側から積極的に本田を売ろうとはしなかった。そして本田も移籍を希望しないどころか、契約を最後まで全うすることを望んだ。
 
 移籍市場の閉まるほんの2、3時間前には、プレミアリーグのハル・シティからのオファーがあった。しかし本田はこれを、「自分の希望と合わない」と拒否している。
 
 また、ガッリアーニは否定しているが、やはりメルカートが閉まる数時間前に、今度は昨夏に続いてラツィオに移籍するという噂がにわかに浮上した。ただしこれも、結局は形にならなかった。

次ページ獲得した3人のうち2人は本田とポジションがかぶる選手。

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