チェルシーの横槍で二転三転も、シャルケのコラシナツがユーベ移籍へ

2017年01月25日 ジャンルカ・ディ・マルツィオ

チェルシーはシャルケに好条件を提示したが…。

パワーとスピードを兼備したコラシナツ。ユーベとチェルシーが興味を示し二転三転があったが、結局はイタリア行きに落ち着きそうだ。(C)Getty Images

 ユベントスはシャルケの左SB/WBセアド・コラシナツの獲得に動いている――。そう書くのは正確さを欠く表現だ。というのも、ユーベはすでに選手サイドと、シャルケとの契約が満了する2017年夏の移籍で合意に達しているからだ。
 
 とはいえ、そこにはひとつの「しかし」が存在した。チェルシーがシャルケにより魅力的な条件を提示して、この冬にボスニア・ヘルツェゴビナ代表SBを奪い去ろうと目論んでいたのだ。
 
 その条件というのは、ミチ・バチュアイのレンタルと、昨夏に貸し出したアブドゥル・ラーマン・ババのレンタル延長。半年待てば移籍金ゼロで獲得できるプレーヤーに対しての条件としては、破格と言っていい。両クラブ間の良好な関係も追い風だ。
 
 指揮官のアントニオ・コンテにとって、古巣の足を引っ張るのは心が痛むかもしれないが、それ以上に喜ばしい補強になりえた。実質代役不在の左WBマルコス・アロンソの負担を軽減する存在として期待していたからだ。
 
 しかし、ここにきて事態は急変した。ガーナ代表の一員としてアフリカ・ネーションズカップに参戦していたババが、1月24日のウガンダ戦で左膝前十字靭帯断裂の大怪我を負ったのだ。
 
 これにより、ババとここまで左WBのポジションを分け合ってきたコラシナツを、シャルケは少なくとも今シーズンいっぱいは留まらせることに決めた。
 
 こうなると、すでに選手サイドと合意しているユーベが圧倒的有利で、チェルシーは苦しくなる。夏にはユーベに移籍金ゼロで加入することになるだろう。
 
文:ジャンルカ・ディ・マルツィオ
翻訳:片野道郎
 
※当コラムではディ・マルツィオ氏のオフィシャルサイトにも掲載されていない『サッカーダイジェストWEB』だけの独占記事をお届けします。
 
【著者プロフィール】
Gianluca DI MARZIO(ジャンルカ・ディ・マルツィオ)/1974年3月28日、ナポリ近郊の町に生まれる。パドバ大学在学中の94年に地元のTV局でキャリアをスタートし、2004年から『スカイ・イタリア』に所属する。元プロ監督で現コメンテーターの父ジャンニを通して得た人脈を活かして幅広いネットワークを築き、「移籍マーケットの専門記者」という独自のフィールドを開拓。この分野ではイタリアの第一人者で、2013年1月にジョゼップ・グアルディオラのバイエルン入りをスクープしてからは、他の欧州諸国でも注目を集めている。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事